安全教育の実施義務
雇い入れ時の安全衛生教育と作業変更時の安全教育は、事業場の規模にかかわらず(一人しか従業員がいなくても)実施しなければなりません。
この安全教育は作業をさせる前に行わなければなりません。
教育するべき事項
1.機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
2.安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
3.作業手順に関すること
4.作業開始時の点検に関すること
5.当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
6.整理、整頓及び清掃の保持に関すること
7.事故時等における応急措置及び退避に関すること
8.前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項(健康診断など健康管理に関することが含まれます)
事務労働が主体である業種では、1~4を省略することができます。
事務所など、危険なことは無いようにみえる職場でも、項目が減るだけで安全衛生教育はやらなければなりません。
労働者の作業内容を変更したとき(事務から営業への配置替えなど)は、新たに従事する業務に関する安全教育を行わなければなりません。教育項目は、雇入れ時の教育と同じです。つい、忘れがちなので注意しましょう。
また、どちらの教育も、前歴や所持して資格によって、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、その事項についての教育を省略できることになっています。
研修の実施方法
講師になるのに特別が資格が必要なわけではありません。
社内で行う場合には、テキストとして、中央労働災害防止協会編の「新入者安全衛生テキスト」をお勧めします。講師用マニュアルとして「新入者安全衛生テキスト指導のポイント~新入者教育を充実させるために~」もあります。
また、各地の労働基準協会などの団体が研修を実施しています。小規模な企業は、社内で研修を準備するのは大変なので、外部研修を活用するのがよいでしょう。
特別教育と違って記録に関する明確な規定はありませんが、法律上の義務によって実施する研修なので、いつ、誰に対して行ったかの記録を保存しておくことは当然です。特に、研修内容の一部または全部免除を行ったときは、どのような前歴や資格によって免除したか明記しておきましょう。
費用の負担等
安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害を防止するためのものなので、事業者の責任と負担において実施しなければなりません。
従って、安全衛生教育は所定時間内に行われるのが原則であり、その時間は労働時間となります。また、法定時間外に行われた場合には割増賃金を支払わなければなりません。外部研修に出す場合は、交通費や受講料などを事業主が負担しなければなりません。
トップページ>労働安全衛生法のあらまし>このページ