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8月, 2021の投稿を表示しています

出産したときは出産育児一時金が支給されます

出産は健康保険が適用されません 出産は病気ではないという考えから、出産に困難があるなどで、治療の必要を医師が認めた場合を除いて、診察や出産のための入院には健康保険が使えません。 通常の診療等であれば3割の自己負担で済むものが、出産のための診察や入院は10割負担となってしまいます。そこで、健康保険から出産育児一時金等が給付されます。 出産育児一時金が支給されます 健康保険の被保険者が出産をしたときは、 1児ごとに42万円(ただし、産科医療補償制度に加入していない病院などにおいて出産する場合は40万4千円の出産育児一時金が申請により支給されます。 出産一人につきですから、ふたごのときは、2人分もらえます。 分娩時の入院日数は、5日から17日程度とされ、この入院費用の相場は30万円から40万円といわれています。 なお、退職後であっても次の条件を満たしていれば受給することができます。 □ 資格喪失日の前日までに引き続き1年の以上の被保険者期間があること。 □ 被保険者資格を喪失してから6ヶ月以内の出産であること。 ただし、退職後に受け取れるのは被保険者の場合だけです。被扶養者の出産に支給される家族出産育児一時金は、被保険者が退職後であれば支給されません。 加入している保険者(協会けんぽなど)に「健康保険出産育児一時金支給申請書」を提出します。 協会けんぽの場合は次のページからダウンロードできます。 健康保険出産育児一時金支給申請書 産科医療補償制度とは 産科医療補償制度というのは、分娩に関連して出生体重が1400グラム以上、在胎32週以上かつ低酸素状況という基準のもと重度脳性まひが発症してしまった場合、家族や本人の経済的負担を補償するために、一時金600万円と分割金2400万円(20年×120万円)、総額3000万円が補償金として支払われる制度です。 家族出産育児一時金 被扶養者が出産した場合、被保険者に家族出産育児一時金として42万円が支給されます。被保険者の分と被扶養者の分を同時に受け取ることはできません。 被扶養者である未婚の娘が出産した場合にもこの一時金の請求をすることができます。 医療機関への直接払いと受取代理 医療機関の窓口で申し出ると、かかった出産費用に出産育児一時金を充てることができるよう、健康保険から医療機関に直接出産育児一時金が支払われます。病院に支払う

出産のために会社を休んだときは出産手当金が支給されます

出産手当金とは 被保険者本人(出産手当金は被扶養者には支給されません)が出産のため仕事を休み、賃金が減ったり無くなったりした場合は、健康保険から出産手当金が支給されます。 出産手当金は、原則として 出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます 。 つまり、産前産後休業をとっている期間を対象に支給されます。 出産手当金の対象になる法定の産前産後休暇は、出産予定日を基準に計算します。出産日は出産の日以前の期間に含まれます。 予定日よりおくれて出産した場合は支給期間が、出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日後56日の範囲内となっていますので、実際に出産した日までの期間も支給されることになります。 たとえば、実際の出産が予定より5日おくれたという場合は、その5日分についても出産手当金が支給されます。 出産手当金の申請 加入している保険者(協会けんぽなど)に「出産手当金支給申請書」を提出します。 協会けんぽの場合は次のページからダウンロードできます。 健康保険出産手当金支給申請書 この用紙には、事業主や医師に記載してもらう欄があります。実際に申請するときは、用紙の入手段階から会社の人事担当者に手伝ってもらいましょう。 出産手当金の支給額 出産手当金は、1日あたり標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。 ただし、休んでいる期間も給料がでるのであれば、その期間は出産手当金の支給額が減らされます。 妊娠4ヶ月(85日)以上の出産であれば、早産、流産、中絶も支給の対象になります。 会社を辞めた場合には、次の条件を満たしていれば、退職後も出産手当金の給付が継続します。 □ 資格喪失日の前日まで引き続き1年以上の被保険者期間があること □ 資格を喪失した際に、出産手当金を受けていること。 標準報酬日額とは 出産手当金は、標準報酬日額の3分の2に相当する額です、と説明しました。 その「標準報酬日額」とは何かを説明します。 標準報酬日額は、おおまかに言えば、給料の1日当たりの額のことですが、社会保険に特有の計算方法があって、少し複雑になっています。 標準報酬日額は、支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヶ月間の各月

未婚で出産したときの子の戸籍

婚姻していないときの子 法律上で婚姻している夫婦から生まれた子を、嫡出子(ちゃくしゅつし)と言います。 民法では、婚姻してから200日以降、婚姻解消から300日以内に生まれた子も嫡出子になります。 ただし、婚姻から200日以内に生まれた子には必ずしも認知が必要とされておらず、実務上では嫡出子として取り扱われています。この場合、あえて、非嫡出子として届出をすることも認められています。 嫡出子に該当しないときは、子を母の戸籍に入れる場合と、認知した父の戸籍に入れる場合があります。 母の戸籍に入れる 婚姻関係に無い男女間に生まれた子供の出生届は、子供の母が届出するよう法律で決められていますので、出生届の届出人欄は、「母」となります。 母親が両親と同じ戸籍に入っているときは、3世代の戸籍は作れないので、母親と子供の二人の戸籍を新たに作る必要があります。これは出生届のときに手続きできます。 胎児のうちに認知されていると、その旨が母親の戸籍に記載されます。 認知されていないと父親欄は空白になり、法的には父親との関係が不明となります。 この場合、仮に推定できる父親がいたとしても、その父親の相続人にはなりません。認知されていれば相続人になります。 認知した父の戸籍に入れる 認知の手続き 父親が自分の子であることを認めたときは、父親の戸籍に入れることもできます。 父親が認知したら家庭裁判所に子の氏の変更許可申立書を提出します。家庭裁判所の許可を得たのち、子は父親の戸籍に入ることになり父親の姓を名乗ることになります。 認知届は、母子の同意がなくても届出ることができますが、子が成人に達している場合には子の同意が必要です。 遺言による認知 生前は認知してくれなかった父親が、遺言で認知する場合もあります。 認知してくれないとき 父親が認知の手続きをとらないときは、認知を求める子、子の直系卑属、法定代理人は家庭裁判所に認知の調停を求めることができます。 父親が認知していないうちに亡くなってしまうこともあります。 その場合は「死後認知の訴え」という手続きが残されています。 死後認知の訴えは家庭裁判所に裁判を提起します。具体的な手続きは弁護士に依頼するのが一般的です。 難しいのは親子関係の確認です。 通常、認知の訴えで親子関係を確かめるためには、DNA鑑定を行います。遺族の非協力などでDNA鑑定が

入院時の連帯保証人

入院するには保証人が要る 入院することになった時、ほとんど全ての病院で連帯保証人を求めます。 それも、独立の家計を営んでいる人という条件がつきます。2人求められることもあります。 誰もが気軽に応じてくれる親戚や友人がいるわけではありません。この段階で途方にくれてしまうこともあります。 なぜ保証人が必要か? だいたい察しがつくと思いますが、支払が滞ることを恐れてこのような仕組みにしているのです。 入院すれば、高額療養費を活用したとしても、入院中の食事代や差額ベッド代など、諸々の費用がかかるので、数万円~数十万の負担になることはザラです。 親戚や友人を頼る 頼む順序としては、血縁関係が近い順に頼むのが一般的です。 疎遠にしているので頼みづらいという場合でも、背に腹は代えられないのですから、頼んでみることです。 頼んだけれども断られた、あるいは、全く縁者がいない場合は次の手段になります。 病院に相談してみる 入院保証金や預り金を支払うことでOKになる病院もあります。クレジットカードの番号を登録することでOKになる病院もあります。 保証会社を使う 連帯保証人がいない人を対象にした保証会社と契約する方法もあります。 「入院 保証会社」「保証人 代行」などで検索するといろいろ出てきます。 当然ながら料金の支払いが必要です。 まとめ的に言うと 入院時の連帯保証人は必要です。 が、身元保証人欄が見つからなければ追い出されるかといえば、そういうことはありません。病院が病人を放り出すことは、簡単にはできないのです。 だからと言って開き直るのはお勧めできませんが・・・・。 トップページ > 健康をそこねたら >このページ

入院生活に必要なものリスト

病院によって異なりますが、おおむね次のようなものを用意しなければなりません。 洗面用品 □ 入浴用品石鹸 □ 洗顔料 □ 歯磨きセット □ コップ □ 髭そり □ 手鏡 □ 櫛やブラシ □ シャンプーとリンス □ 洗面器 □ タオル □ 爪切り □ 耳かき □ 髪留め □ 基礎化粧品 など 日用品 □ 急須&湯飲み □ 箸・スプーン&フォーク □ ストロー □ 置時計 □ ラジオ □ イヤホン □ 携帯用充電器 □ ティッシュ □ ウェットティッシュ □ ビニール袋 □ ミニ盆 □ 洗濯洗剤 □ S字フック など 衣類等 □ 前開きタイプの寝巻き(前開きタイプ) □ 下着 □ 靴下 □ 室内履き(滑りにくいもの) □ タオルケット □ ハンガー □ 紙おむつ(医療費控除のため領収書保管) □ 羽織る物 など 文房具 □ ノート □ ボールペン □ クリアファイル □ 印鑑(朱印を用いるもの) □ はさみ など 手続書類 □ 入院誓約書(保証人) □ 診察券 □ 健康保険証(高齢受給者証 健康保険限度額認定証等)など 薬 □ 服用中の薬すべて □ お薬手帳 最初からあせって全部用意することはありません。上記に記載したもののなかにも病院によっては不要のものがあります。 病院によっては禁止されているもの(例えばスリッパ)があります。病院から渡される説明書をよく読みましょう。また普段自分で使っていないものは病院でも使いません。体調やどのくらい動けるかによっても違います。 寝巻は毎日着替えできるレンタルサービスを利用できる病院が多いです。紙おむつを病院から指定されることがあります。買う前に確認しましょう。 大き目の病院だと売店があって急ぎのものはそこで買うことができます。病院内の売店は総じて割高ですが。 トップページ > 健康をそこねたら >このページ

入院費用について

入院費用は高額になることがある 一般的には1ヶ月ごとにその月の分がまとめて請求されます。入院時に保証金を必要とする場合もあります。退院するときは、退院の日に支払いを終えるのが原則です。 支払いの方法は通常は現金ですが、病院によって銀行振込、クレジットカードなどを使うことができます。 高額になった場合 健康保険の高額療養費制度を利用することで負担を軽減することができます。いったん自分で払わなければなりませんが、協会けんぽなどの保険者に申請して、自己負担限度額を超えて支払った分が戻ってきます。 支払いの前に制度の手続きをしておけば、窓口では最初から自己負担限度額のみの支払いで済みます。 入院の時は医療費が多くかかります。まず「限度額適用認定証」を取得しましょう。 健康保険がきかない費用がある 治療に要する費用は健康保険が適用になるので自己負担は3割です。また、一定の額を超える場合は「高額療養費」が適用されるので、一定の額以上には負担がないことになっています。ただし、健康保険が効かない費用があります。 ・差額ベッド代 いわゆる大部屋であればかかりませんが、患者が自分から個室等を希望した場合には差額ベッド代を請求されます。病院の都合や治療の都合であれば請求されないことになっています。 ・食事代 健康保険から給付されますが1食460円です。1日3食で1380円になり、30日だと41400円になります。(所得により安くなります) ・おむつ代 病院指定のものを購入することが多く、毎日のことなのでけっこう高額になります。 その他、診断書、先進医療は健康保険の対象外です。 トップページ > 健康をそこねたら >このページ

健康保険の傷病手当金

傷病手当金とは 病気やけがのために会社を休み、給料が減ったり無くなったりしたときに健康保険から支払われる給付金です。 病気やケガで仕事を4日以上休んだ場合に、おおよそこれまでの月給の3分の2に相当する「傷病手当金」支給されます。正確に言えば、1日の支給額は標準報酬日額の3分の2に相当する額です。 通院、入院した日だけでなく、自宅療養の期間も支給されます。ただし、療養のために会社を休んでいることが条件です。 療養が長期になって休職したときも、支給期間が残っていれば継続して受給することができます。 傷病手当金をもらえるのは健康保険の被保険者本人です、家族は対象になりません。また、自営業者等が加入する国民健康保険にはこの給付がありません。 支給額は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額です。 健康保険からの支給ですから、私用中の病気やけがによるものが対象です。通勤途中や仕事中のケガなどは、傷病手当金を受給できず、労災保険の対象になります。 待期期間があります 傷病手当金は、 連続して3日休んだ場合、4日目から支給されることになっています。この3日間を待期期間といいます。 支給されないこの期間は有給休暇をとっても構いません。 待期期間は連続3日間ですから、例えば、2日休んで3日めに出勤することを繰り返した場合は、いつまでも支給されません。 あいだに土曜日曜祝日などの公休が入ったときは、公休日も含めて3日連続すれば待期期間が完成します。 2回目以降の請求には待期期間がありません。 標準報酬日額の求め方 標準報酬日額は、支給開始日(一番最初に給付が支給された日)以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30(日)で割って求めます。 支給開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、標準報酬月額の平均と28万円を比べて、少ない金額を30(日)で割って求めます。 この28万円というのは、当該年度の前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均値なので、年度によって変動します。 また、転職している場合は、離職期間が1ヶ月以内であれば、前の勤務先の分を通算して計算します。 支給額が減じられる場合がある 次の場合は傷病手当金の支給額が調整されます。 1.事業主から休んでいる期間も賃金の支給を受けた場合 2.同一の傷病により障害厚生年金、障害手当金を受けている

休職制度は私傷病等を対象とする休業制度です

休職制度とは 休職制度というのは、会社を辞めずに仕事を長期間休むことができる制度です。 休職制度を使うケースとして一番多いのは、私傷病です。そのほかに海外への留学、家族の介護などで認める会社もあります。 休職制度は、法律で求められていません。会社が任意に設計する福利的な制度です。休職制度が無いとしても違法ではありません。 制度がある場合も、どのような制度にするかは会社で独自に決めることができます。有給にするか無休にするかも会社が決めることができます。休職期間も会社が自由に決めることができ、3ヶ月くらいから2年など様々です。 したがって、従業員としては、ネットなどで制度を調べてもあまり意味が無く、勤務先の就業規則を読むことが大事です。 休職の条件 基本的には、休職事由が発生しても、それだけで休職が成立するわけではありません。使用者が休職を発令するか休職の申出を承認することが必要だとされています。休職させないということもありますが、就業規則に書いてあることが基本なので、就業規則の取得要件を満たしている場合は、基本的に休職にしてもらうことができます。 休職中の賃金 休職中は労務の提供をしていませんので、使用者の責任による事由ではないので賃金は支給されません(一部支給する会社もあります)。給料が出ない場合は健康保険からの給付があります。 関連記事: 健康保険の傷病手当金 給料が出なくても、社会保険料の本人負担分や住民税負担は払わなければなりません。 休職中の生活 休職に関する規定には、休職期間中の付随義務が規定されていることがあります。例えば、休職期間中については、旅行などを届け出制にするなど、治療に専念する義務を課していることがあります。 休職の終了 休職期間中に休職事由がなくなれば、つまり私傷病休職であれば「治れば」復職できます。復帰は特段の事情がなければ現職への復帰となります。 治らないまま休職期間が満了すれば退職しなければならなくなります。 トップページ > 健康をそこねたら >このページ

離婚したときの老齢厚生年金の分割

年金の分割を請求できる 年金の分割というのは「働いてこれたのは妻(配偶者)の支えがあったればこそである」という考えで、夫(配偶者)の老齢厚生年金(共済年金を含む)の一部を、離婚後に元妻(元配偶者)が受け取れる制度です。 これは老齢厚生年金(共済含む)の制度で国民年金の老齢基礎年金にはこういう制度はありません。 合意分割 分割できるのは婚姻期間中に厚生年金被保険者であった期間です。厚生年金や共済年金に入ったことのない元配偶者からは分割してもらうことができません。 原則として配偶者の合意が必要です。 双方が合意すれば、年金事務所に「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)」を提出することで、離婚した元配偶者の厚生年金の一部を自分に付け替えてもらうことができます。この制度を「合意分割」といいます。 相手が合意しない場合は、家庭裁判所の決定をもらう必要があります。 裁判所の決定を得てから、年金事務所に届け出します。離婚時の年金分割の請求書を提出します。 3号分割 合意分割とは別に、「3号分割」というのがあります。 サラリーマンの配偶者(専業主婦または主夫=3号被保険者)は、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間中の夫の厚生年金の標準報酬の半分を請求により自分のものとすることができます。合意も裁判も必要ありません。年金事務所で手続きするだけです。 合意分割は、婚姻期間の全部にさかのぼることができますが、「3号分割」されるのは、平成20年4月1日以降の分だけです。20年4月1日以降の婚姻期間にだけ適用されます。 どのくらいもらえるか 年金分割というのは、正確には離婚した相方の年金額を半分もらえるものではありません。年金の「記録」(標準報酬月額と標準賞与額)を分割してそれぞれの年金額を計算するものです。 報酬比例部分は平均すると月額10万円とちょっとですから、その半分で5万位だと思った方が良いでしょう。それも、会社に勤めていた期間の全部が対象になるのではなく、その中で「結婚していた期間」が対象になるので、さらに低くなる可能性があります。 以下、大雑把な説明ですが参考にしてください。 仮に相手が22歳から会社勤めをしていて65歳まで勤務すれば、厚生年金被保険者期間は43年になります。 仮にあなたとの結婚年数が10年だとすれば、 分割される割合は43分の10です。 仮に相手

離婚すれば慰謝料をもらえるのか

離婚すれば必ず慰謝料がもらえるということはありません。離婚の原因によります。 離婚の原因が相手方にある場合は慰謝料をもらえる可能性があります。少なくとも請求することはできます。 相手方に離婚事由があって離婚する場合は慰謝料をとれる可能性が高いでしょう。単なる性格の不一致では慰謝料をもらうのは難しいかもしれません。 慰謝料は、精神的苦痛を慰謝するために支払われる金銭のことですから、精神的損害を受けたという証拠が必要となります。証拠というのは、医師の診断書、警察等への相談経緯、状況を知っている人の証言などですが、自分で書いたメール、手紙、日記なども証拠として使うことができます。 慰謝料の金額が決まる要素としては、精神的苦痛の度合いとともに支払う側の年収や、社会的地位、その他の要因に左右されます。 協議で離婚が決まり、慰謝料についても合意があった場合は、口約束ではなく離婚協議書を作成しましょう。 離婚協議書は公正証書にしましょう。お金はかかりますが、弁護士、行政書士等の専門家の手を借りた方が安全安心です。 トップページ > 離婚についてのあれこれ >このページ

離婚の際に財産と借金をどのように分けるか

財産分与とは 財産分与とは、離婚するときに夫婦が共同で築いた財産を分けることです。 結婚後に増えた預貯金や購入した不動産は、名義がどちらか一方になっていても、財産分与の対象とすることができます。 必ずしも半分ずつというわけではありません。裁判になったときは、夫婦がどれくらい共有財産の形成に寄与したかを評価する「寄与度」によって分与の割合が判断されます。 自分で稼いだり親からもらったりして結婚前に既に持っていた財産は、夫婦の協力とは関係なく得られたものなので、一部の例外があるものの財産分与の対象とはなりません。 同様に、相続で得た財産も対象外になります。 退職金については、退職金が離婚前に支払われていた場合には、現金や預貯金と同様に夫婦の貢献度に応じて分ける対象になります。まだ支給されていなくても、将来確実に支給されるのであれば財産分与の対象となるという判例があります。 借金を分ける 借金が離婚の原因になることは珍しくありません。 その借金が、例えばギャンブルや飲酒にあてるために作った個人的な借金である場合は、たとえ婚姻中に作った借金であったとしても財産分与の対象になりません。それぞれ原因を作った人が負担しなければなりません。 子どもの教育ローンや生活費などの不足を補うためにした借り入れや、住宅ローン等の実質的共有財産を取得するための借金などは、保証人などになっていなくても財産分与の対象になります。 プラスの財産よりも借金の方が多い場合は、分与する財産はないとして、その借金の名義人のみがその借金を負担するという判例があります。 不動産等の評価や、分与後の登記手続きなどは、専門的な知識がなければ手に負えません。お金はかかりますが、離婚の相談の段階から、弁護士、行政書士等の専門家の手を借りた方が安全です。 住宅ローン契約を変更する場合 所有者と返済者が変わらなければ 不動産の所有名義人であり、ローンの契約者である夫がそのまま住み続けて、ローンも引き続き支払う場合は、基本的には特別な手続きは必要ありません。 妻が住宅ローンの連帯保証人になっていれば、ローンは銀行との契約なので手続きをしないと無くなりません。当事者間で話がまとまったとしても、貸借契約の当事者である銀行と契約をやり直さなければなりません。「やっておくから」と言う言葉を信じてはいけません。 共同で所有していれば、

離婚のときは親権者を決めなければならない

親権とは 親権というのは、未成年の子を養育監護し、その財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務のことです。簡単に言えば親としての権利義務のことです。 結婚しているのであれば親権は両親両方にあります。共同して親権を行使します。離婚の際には、父母のいずれか一方のみを親権者にしなければなりません。現状では共同親権の制度はありません。 民法に次のように規定されています。 民法第819条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。 2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。 3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。 4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。 5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。 6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。 別居中であっても、離婚が成立していなければ両方に親権があります。どちらか片方の親のみが親権者になるということはありません。 監護権とは 監護権は親権の一部です。 監護権とは、子供と一緒に生活し身の回りの世話、教育をするなどの権利です。 原則として親権者がこれを行使します。 ただし、事情によっては、親権者と監護権者が別々になることもあります。 離婚したときに父親を親権者に決めたが、子が幼いので母親が監護権者になって養育する、父親が親権者だが、海外出張で世話ができないので母親が監護権者になって養育する、などというケースです。 また、監護権については、正式に離婚する前であっても、別居生活など共同で監護する状態にないときは、親権とは切り離して、とりあえず監護権者を決めることがあります。 民法に次のように規定されています。 民法第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して

離婚後の名字をどうするか

婚姻のときに氏を変更していない人 婚姻したときは、夫または妻の氏のどちらかの氏を称することになっています。 婚姻により氏を変更していない人(主に男性)は、離婚をしてもそのままの氏を名乗ります。 婚姻のときに氏を変更した人 原則として元の氏に戻る 婚姻により氏を変更した人(主に女性)は、原則として、婚姻前の氏(旧姓)に戻ります。これを「復氏」といいます。 氏を変えたくないときは手続きする 氏を変えたくない場合は、届け出をすれば、結婚していたときの氏を継続して名乗ることができます。これを「婚氏続称」といいます。 この場合は、離婚の日から3ヶ月以内に、夫婦の本籍地または届け出人の所在地の市区町村に対して「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を出す必要があります。 離婚の日から3ヶ月過ぎれば、原則として変更できなくなります。3ヶ月を過ぎてから変更したくなった場合は、市区町村の窓口ではなく、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」をする必要があります。 この場合、「やむを得ない事由」がなければ氏の変更は認められないとされています。単に元配偶者の名字を名乗るのが嫌になった、などということではやむを得ない事由とは認められず、その氏を名乗ることで社会生活上の不利益・不便が生じているなどの具体的な事由が必要のようです。 どの位の事由があれば認められるかは素人には判断が難しいので、もしそのようなことになったときは弁護士等の専門家に相談した方がよいでしょう。 離婚後の戸籍 婚姻により氏を変更しなかった人(主に男性)は、離婚後も戸籍に変動はなく、そのままの戸籍にとどまります。 離婚により旧姓に戻った人は、原則として婚姻前の戸籍に戻ります。これを「復籍」といいます。 以上が原則的な扱いですが、次の場合は、新戸籍を作ってその戸籍に入ります。 □ 婚姻前の戸籍が除籍されている場合 □ 婚姻前の氏に戻った人が新戸籍編製の申し出をする場合 □ 旧姓を続けるために婚氏続称の届け出を行った場合 なお、いったん結婚前の戸籍に入って(復籍)、その後に新戸籍をつくることはできますが、逆に、新戸籍をつくってしまった後に、結婚前の戸籍に戻ることはできません。 子の氏と戸籍 父母が離婚しても、子の氏は変更されません。 つまり、母親が旧姓に戻り、親権者になっても、母親と子の氏が異なるということになります。 また、子の

離婚後の養育費をどうするか

離婚後の養育費をどうするか 養育費とは、子どもが成人するまでの生活費用のことです。 支払う側の支払能力、子供の人数、子供の年齢などにより算出します。 1人あたり月2万円~6万円ぐらいが多いと言われていますが、少しでも多くしてもらえるように頑張りましょう。子どもの養育は生活ができればよいというものではありません。進学の費用、思いがけない病気やケガ治療の費用など、想像以上にお金がかかるものです。 話し合いで養育費が決まらない場合は、離婚調停に持ちこみ、それでも決まらない場合は、離婚訴訟で裁判官の判断を仰ぎます。 双方の話し合いで養育費について合意があった場合は、口約束ではなく離婚協議書を作成しましょう。できれば公正証書にすることが望まれます。 そのためには、お金はかかりますが、弁護士、行政書士等の専門家の手を借りた方が安心です。 せっかく養育費を取り決めても途中から払ってくれなくなるトラブルが多いそうです。公正証書がない場合でも打つ手はあるはずです。支払が止まったら早めに弁護士に相談しましょう。 トップページ > 離婚についてのあれこれ >このページ

離婚協議書は公正証書にするべきです

公正証書とは 離婚協議書は公正証書にするべきです。公正証書にすれば、不払いになったときの法的措置が容易になります。 公正証書とは、公証人役場(こうしょうにんやくば)で公証人に作ってもらう書類のことです。 公証人役場というのは、公証人がいる事務所のことです。法務省の管轄する役所なので、役場という名称を用いています。 公証役場には、公正証書を作成することができる公証人が1名以上配置されています。公証人は、元裁判官、元法務局職員など法律実務を長く経験した人が法務大臣に任命されて仕事をしています。 なぜ公正証書にするか 書類の効力を高めるためです。 原本を公証役場で保管してくれるので失くす心配がありません。 公正証書を作成するときに本人確認をするので、後でその書類が「偽造だ」として争われる可能性が低くくなります。 公正証書に、執行認諾文言(「支払いを怠った場合は強制執行されてもかまいません」という取り決め)が付いていれば、相手が支払を怠った場合、あらためて裁判をすることなく、強制執行をすることができます。 市区町村に提出する離婚届に、養育費の取り決めに公正証書を使っているかをチェックする欄が設けられています。国としても離婚協議書を公正証書にすることを勧めているのです。 ただし、離婚協議書の内容を公証人がチェックしてくれるわけではありません。内容については、弁護士などの専門家の助言が重要です。 公正証書の作成手順 一般的には、先に弁護士などの専門家に相談して書類を作成して、その書類を公証役場に持参して公正証書にしてもらいます。 専門家と事前打ち合わせが義務になっているわけではないので、本人が、公証役場に予約をして、公証人と打ち合わせしながら作成することもできます。 ただし、公証役場は公正証書の作成などの各手続きを実施する役所ですから、争いの相談に応じたり、紛争の解決に手を貸すことはしていません。 本人が公証役場へ行くのが原則ですが、病気などで公証役場へ出向けないときは、公証人の側から依頼者にもとに出張して作成対応することもできます。 公証役場の所在地 公証役場は、公証人連合会のホームページから探すことができます。 公証役場一覧|日本公証人連合会 公証証書の作成手数料 公正証書の作成は有料です。 公正証書作成の費用は、原則として、その目的価額により定められています。 目的価額と

裁判で離婚を決めてもらうこともできます

離婚をもとめる裁判 お互いに話し合っても合意できず、調停をしても合意できない場合には、訴訟を起こして裁判で判決をもらうという手段があります。 (裁判上の離婚) 民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 一 配偶者に不貞な行為があったとき。 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき 。 上記に掲げられた離婚理由に該当する場合は、家庭裁判所に離婚の訴えを起こすことができます。 慰謝料や財産分与、親権者の指定、養育費の請求なども同時に判決を求めます。 裁判とは 離婚を争う裁判は民事訴訟の一つです。民事訴訟とは、争いの当事者の間で解決できないときに、裁判官に対して双方が主張を述べて、どっちの主張が合理的か裁判官に判断を求めることです。 裁判は公開で行われます。いつ誰の離婚について裁判が行われるか、普通の人に知れ渡ることはあまりありませんが、裁判は誰でも傍聴できます。人に知られたくないことを知られてしまう可能性が、わずかですがあるということは覚悟しなければなりません。 また、裁判の過程で、相手方から非常に強い、心無い発言をされることを覚悟しなければなりません。あなたの主張することをことごとく否定してくると思った方がよいです。もちろん、弁護士に全て任せて裁判所に行かないこともできますが、裁判所が証人として発言を求めたときは出廷して質問に答えなければなりません。 証拠が重要 裁判離婚の場合、民法770条に定められた離婚事由があるかどうかが大きなポイントになります。離婚事由がないと判断されれば、裁判は負けます。 本人が離婚事由があると考えても、証拠がなければ有利な判決はなかなかもらえません。夫が不倫をしていると言っても「いつも帰りが遅い」「友人がそう言っている」「一緒に食事をしていた」という程度では、相手に否定されてしまえば不倫の証拠にはなりません。 裁判官は双方の意見を聞いてどっちの主張が正しいかを判断しますが、裁判官の判断に大きく影響するのが証拠です。証拠があるかどうかはとても重要です。 裁判の前に、弁護士の意見をよく聴くことが大事です。 裁判の流れ まず原告が離婚請求の訴状を管轄の家

離婚協議書とはどういうものか

離婚協議書とは 離婚協議書は、離婚するに際して、双方の合意の内容を記載して、お互いに守ることを約束した文書です。 親権、養育費、財産分与、慰謝料などの合意事項を記載するのですが、専門的知識が無いと、もれや不備がありがちです。離婚協議書は、弁護士や行政書士等の専門家に入ってもらってしっかりしたものを作りましょう。 離婚協議書の例 あくまでも一例です。こういう感じだということでごらんください。 離婚協議書 (離婚の合意) 第1条 夫〇〇〇〇(以下、「甲」という)と妻〇〇〇〇(以下、「乙」という)は、協議離婚することに合意し、下記の通り離婚協議書を取り交わした。 (離婚届) 第2条 乙は双方が自署名捺印した離婚届を令和〇〇年〇〇月〇〇日までに、〇〇市役所に提出するものとする。 (親権者及び監護権者)  第3条 甲乙間に生まれた未成年の子である長男〇〇〇〇(令和〇〇年〇月〇日生、以下「丙」)、長女〇〇〇〇(令和〇〇年〇月〇日生、以下「丁」)の親権者を乙と定める。 2 乙は丙、丁の監護権者となり、それぞれが成年に達するまで、これを引き取り養育する。 (養育費) 第4条 甲は乙に対し丙の養育費として令和〇年〇月から令和〇年〇月まで、毎月末日限り金〇〇万円を、丁の養育費として令和〇〇年〇月から丁が成年に達する日の属する月まで、毎月末日限り金〇万円の合計金〇〇万円を乙の指定する口座へ振込送金の方法により支払う。 2 振込手数料は甲の負担とする。 3 甲乙は、上記に定めるほか、丙、丁に関し、入学や入院等、特別な費用を要する場合は、互いに誠実に協議して、おおむね等分に負担するものとする。 4 甲乙は、上記養育費について、物価の変動その他の事情の変更に応じて、互いに誠実に協議して、増減できるものとする。  (慰謝料) 第5条 甲は、乙に対し、慰謝料として金〇〇万円の支払義務があることを認め、これを〇〇回に分割して、令和〇〇年〇月から令和〇〇年〇月まで、毎月末日限り金〇万円を乙の指定する金融機関の預貯金口座に振り込んで支払う。 2 振込み手数料は甲の負担とする。 (財産分与) 第6条 甲は乙に対し、財産分与として金〇〇万円を令和〇〇年〇月〇日までに乙の指定する口座へ振込送金の方法により支払う。 2 前項の外、甲は乙に対し、乙の生活が安定するまでの〇か月分の生活費として月金〇万円の支払い義務

離婚調停とはどういうものか

離婚調停とは 離婚したくても相手が応じてくれないとき、離婚することは合意しても、親権の問題、養育費の取り決め、慰謝料の請求、財産分与などの条件がまとまらないときに、家庭裁判所に調停を申し出ることができます。 調停は家庭裁判所の調停委員が関与する話し合いです。調停委員は裁判官ではなく一般の市民から選ばれた人が就任しています。 調停の場で納得して書類が作成されてしまえば、後から覆すことはできません。 主張することに自信がない人は、ひとりで調停にのぞまず、弁護士に依頼する方が良いかもしれません。 離婚調停の進み方 申立書を提出する まず、住所地の家庭裁判所、または夫婦で合意した家庭裁判所に行って離婚調停の申し立てをします。 「夫婦関係調整調停申立書」に必要事項を記入して提出します。申立書は相手の合意は要りません。単独で提出することができます。 家庭裁判所に払う費用はあまりありません。収入印紙1200円、書面を郵送する際の切手代くらいのものです。ただし、弁護士や司法書士に依頼する場合は別途費用がかかります。 調停期日呼出状が送られてくる 夫婦関係調整調停申立書が提出されると裁判所で調停の日程を決めて、調停の申立てした人とその配偶者に「調停期日呼出状」が送られてきます。調停期日とは、調停をする日という意味です。 初回の調停がある 家事審判官(裁判官)1名と調停委員(2名)が、調停を行います。夫婦は別々の部屋に通され、まずは申立人、次に相手方、最後にもう一度申立人の順で話を聞かれます。調停の場では夫婦が直接言い合う場面はありません。 調停は何度も行われる 1度で話しがまとまることはあまりありません。複雑なケースほど時間がかかります。 調停は月1回くらいのペースで進みます。引き続きそれぞれの意見を聞き、争点を整理しながら解決を促します。1回終わるごとに次回の調停日を決めます。 平均的には3ヶ月~6ヶ月程度は続けます。 調停委員が一方的で嫌な思いをしたという話しを聞くことがあります。調停委員は裁判所にいますが法律家ではなく、どちらかというと一般人に近い人から選ばれています。なので個人差もあると思われます。ですが、離婚については裁判の前にまず調停でというルールがあります。気持ちを落ち着けて実際にあった事実と自分の考えを伝えましょう。 調停が成立したら 調停の場でお互いが離婚条件につい

協議離婚は話し合いで離婚を決めることです

協議離婚とは 協議離婚とは夫婦の話し合いによる離婚です。 夫婦直接でなくても代理人の話し合いであっても、調停や裁判の手続きを使わないで離婚する場合は協議離婚です。離婚の大部分は、双方の話し合いによる協議離婚です。 民法に次の規定があります。 民法第763条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。 協議離婚の流れ まず、離婚することを合意します。 離婚について合意したら、親権、養育費、財産分与、慰謝料などの離婚条件を決めます。 合意内容を離婚協議書という文書にまとめます。 関連記事:離婚協議書とはどういうものか 離婚届を市区町村役場へ提出すれば離婚が成立します。 時効に注意 離婚協議書を取り交わさずに、離婚届を出してから条件に付いて協議をすることがあります。 この場合は、話し合いをダラダラ続けているうちに時効にならないように注意しなければなりません。 養育費の時効は、支払い義務発生から5年間 財産分与の時効は、離婚成立から2年間 慰謝料の時効は、離婚成立から3年間 などと決まっています。 後のトラブルに注意 裁判所で行う調停離婚などと違って、協議離婚の場合は、大事な部分についての話し合いがなされないまま、あるいは書面に残さないまま、離婚が成立することがあります。 このような離婚は、離婚後にトラブルが発生しがちです。 トラブルを防ぐためには、離婚協議書を残しておくことが重要です。できれば離婚協議書を公正証書にしておきましょう。 関連記事:離婚協議書は公正証書にするべきです こうした手続きは、弁護士や行政書士などの専門家にお願いする方がよいでしょう。 離婚できるというだけで安心してしまわず、しっかりと手続きを進めましょう。そもそも相手との信頼関係が壊れているから離婚に至るのですから、この段階では相手より、自分や子どものことだけ考えましょう。 話し合って合意できなければ、家庭裁判所の調停、そして裁判ということになります。 関連記事: 離婚調停とはどういうものか トップページ > 離婚についてのあれこれ >このページ

労災保険の給付は退職後も継続します

労災受給中の退職 労災保険の休業補償給付を受給中に退職した場合も、労災の給付は継続して支給されます。 ただし、働くことができない状態なので、雇用保険の基本手当を請求することができません。この場合、ハローワークに受給期間延長の手続きをしておかないと、ケガなどが治って職を探す段階で基本手当が受けられなくなっている場合があります。 受給期間の延長 退職後の労災申請 労働災害は在職中に遭遇するものですから、基本的にはその申請は在職中に行うものです。しかし、在職中に申請しにくい事情があったり、労災の知識が無かったりして、退職後に労災申請の必要性に気付くことがあります。 在職中に仕事を原因とする労働災害(病気を含む)であれば、退職後だとあきらめずに、労働基準監督署の窓口あるいは弁護士等の専門家に相談して、給付の請求手続きを進めましょう。もし認定されれば、休業補償給付金や治療費等が労災保険から給付されます。 ただし、時効という問題があります。労災保険の給付は、2年、または5年で時効になってその分の支給が受けられなくなってしまいます。遅くなっても申請はできますが、できるだけ早く申請しましょう。 労災の申請には、勤務していた事業所から書類に証明印をもらう必要がありますが、もし、協力が得られないようでも、その事も含めて、早めに労働基準監督署に相談するとよいでしょう。 また、時効は、発症して労働ができなくなった時から始まるので、アスベストによる疾患など、長いあいだ問題なく暮らしていて発症する疾患については、退職後何年経っていようが、古いことだからなどと諦めることはありません。たとえ勤めていた会社がすでに存在していない場合でも、労災申請を受け付けてもらえます。 トップページ > 退職する前に知っておくべきこと >このページ

退職後の住民税は思わぬ額になることがあります

住民税 住民税は、給与に対して市区町村が課税している税金です。 住民税は、所得のあった年に納付するのではなく、その翌年に納付する後払い方式になっています。 具体的には、前年の1月から12月までの所得に対して納める税金額が決まり、翌年1月1日時点で住所のある自治体に6月から5月にかけて分割で給料から引かれています。 つまり、会社を辞めるときは、辞めた翌月から給料から引かれる予定だった分をどうするか、という問題が出てきます。いずれにしても支払わなければならないのですが、後述するように、退職時期によって支払方法が異なります。 なお、転職先が決まっている場合は、再就職先での特別徴収(給料からの天引き)の継続を希望することができます。その場合、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を会社から受け取り、再就職先に提出します。 残余の住民税の支払 再就職先での特別徴収を希望する人以外は次のどれかになります。 1月1日から5月1日の間に退職の場合 残りを最終の給料から一括徴収することになっています。一般的には最後の給与か退職金から天引きしますが、退職が1月であれば、5ヶ月分を一括納入することになりますので大きいです。 6月1日までに再就職していれば、前年の所得に対する住民税は、次の会社で給与天引きになりますが、再就職していない場合には1年分を4回に分納して、市区町村に納入することになります。 6月1日から12月31日の間に退職の場合 最終の給料から残りを一括納付する方法と、自宅へ送付される納付書により自分で支払う方法のどちらかを選択できます。 住民税は、このように前年の収入に対して課税されるので、退職した場合は、失業して収入がなくても住民税の請求書が来ることがあります。あらかじめ、いつどのくらいの住民税を納付しなければならないか、把握しておかないと慌てることになります。 所得税 所得税は、毎月の給料に対して計算して差し引かれているので、住民税のような未払いという問題は生じません。 年の途中で退職したときは、所得税の年末調整がされていないので、翌年の確定申告時に申告すれば、納めた所得税が還付されることがあります。 退職した年内に再就職した場合は、その会社で年末調整してくれます。 退職金の所得税 退職金の額によっては税金がかかります。事務の人によく聞いておきましょう。ただし、次のこと

無職になっても国民年金に入らなければならない

国民年金への加入は義務 日本国内に住んでいる年齢が20歳以上60歳未満の人は、全て国民年金に加入しなければならないことになっています。会社に勤務しているときは、厚生年金に入っており、厚生年金に入っていると、自動的に国民年金に加入しているのです。 ということなので、会社に勤務していた人が退職すると厚生年金保険の被保険者資格を失うので、いっしょに国民年金の被保険者の資格を失います。そこで、60歳未満で退職した人は、すぐに再就職する場合を除き、国民年金に加入する手続きをしなければならないのです。 正確に言えば、新たに国民年金に加入するのではありません。会社に勤務しているときは、国民年金の第2号被保険者であったのですが、退職したので、国民年金の第1号被保険者への種別変更が必要になるのです。 第1号被保険者の保険料は、1人当たり月額16590円(令和4年度)です。切り替え手続き後に納付書が送付されてきます。 被扶養配偶者も別に払う 厚生年金に加入している人に扶養されている配偶者は第3号被保険者といって、保険料は直接負担していませんが、国民年金の第3号被保険者として国民年金に加入しています。 配偶者が退職して厚生年金の資格を失えば、その被扶養配偶者は第3号被保険者の資格を失います。その場合は、その被扶養配偶者は国民年金の第1号被保険者への変更を届け出て、国民年金には扶養者という仕組みがありませんから、自分の分の国民年金保険料を払わなければなりません。 配偶者の被扶養者になる 失業したときに配偶者が厚生年金の被保険者である場合は、その扶養に入ることで第3号被保険者になることができます。 結婚のため退社した場合でも、再就職するのでなければ国民年金に加入しなければなりません。また、会社勤務の人と結婚して扶養されることになった場合には、国民年金の第3号被保険者に変わるための届出が必要です。 なお、産前産後の期間(出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間)は国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。 市区町村への手続き 転職先を決めずに退職した場合は、退職の日から14日以内に市区町村の窓口へ以下の物を持参して手続しなけれなりません。 □ 年金手帳 □ 印鑑 □ 会社が発行する退職証明書や離職

勤務先が倒産してしまったら

失業給付を受給する ハローワークに求職の申し込みをすることで失業給付の基本手当を受給できます。 →基本手当の受給手続き 会社の倒産による離職は、普通の離職より、基本手当の支給開始時期と支給期間が優遇されます。 手続きには、会社が発行する離職票が必要です。倒産直後は会社も混乱していると思いますが、何はさておいても離職票を交付してくれるよう会社に頼みましょう。関与する弁護士が明らかになっていれば、弁護士の方にも協力してもらえるように申し入れましょう。 未払い給料を請求する 未払い給料は債権にあたり、従業員も債権者の一人になります。債権の額を裁判所に届け出て、破産管財人からの支払いを待つことになります。ただし、配当の順位によって配当される金額が違ってきます。 破産に関する債権には次のような種類があり、上から順に優先順位があります。 1.財団債権 2.優先的破産債権 3.一般的破産債権 4.劣後的破産債権 5.約定劣後破産債権 破産手続開始前3ヶ月間の給与債権が財団債権です。財団債権は他の債権よりも支払いが早く行われます。それ以外の給料は優先的破産債権とされます。 財団債権も優先的破産債権も他の債権より優先的に扱われますが、破産する会社は財産があまり残っていないのが普通ですから、配当は多くは期待できません。全く無い場合も珍しくありません。 残業代を含めた未払い給料の額は会社に計算してもらわなければはっきりしたところは分からないものですが、それでも全くの会社任せではいけません。会社も混乱しているときですから間違いも多いものです。もれはないか、しっかり確認しましょう。 未払賃金の立替払制度がある 未払いになっている給与や、退職金規程に基づく退職金がある場合は、労働者健康福祉機構の立替払制度を利用できます。 この手続きは労働基準監督署が窓口ですが、会社から賃金の証明をもらう必要があるので、まずは会社に申し入れましょう。 → 会社が倒産して賃金をもらえないときは 解雇予告手当を請求する 倒産の場合、普通は即時解雇になりますから、30日分以上の平均給与に相当する解雇予告手当を請求できます。 → 解雇について法律で決められていること その他の債権も確保する 社内預金や預け金がある場合は、通常は、法律の定めによって保全措置が取られています。その手続きをするように会社に申し入れましょう。

有期雇用は途中で辞めれないのか

辞めさせてくれない場合 契約期間1年の有期契約で採用されました。まだ3ヶ月ですが、家庭の事情で、どうしても仕事を続けることができなくなりました。その旨を社長に話したところ、契約期間の中途で退職するのは法律違反だ。と言われました。辞めることはできないのでしょうか。 民法には次のような定めがあります。 民法第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。 つまり、有期雇用の期間中であれば原則として辞めることができないので、社長の言っていることは基本的には正しいのです。 しかし、この条文には「やむを得ない事由」があれば辞めることができるとも書いています。 やむを得ない事由があれば辞めれる では、どういったケースであれば「やむを得ない事由」と判断されるでしょうか。 会社が採用時に示した労働条件を守らない、残業代を払わない、パワハラ・セクハラ等、違法な業務に従事させるなどのことがあれば、確実に「やむを得ない事由」に該当します。 上記の例のように「家庭の事情」だけではやむを得ないかどうか判断できません。面倒でも具体的に、親の介護、育児の手間、配偶者の転勤、自分の健康上の理由、学生であれば学業への影響など、仕事を続けられない理由を述べましょう。 このような理由を言われるとほとんどの会社は納得してくれるものですが、なかには「それは理由にならない」などと言う会社があるかもしれません。しかし、「やむを得ない事由」かどうかを判断するのは「会社」ではありません。やむを得ない事由かどうかは、最終的には裁判所が判断することです。 よって、理由を述べた上で強引に辞めたとしても、会社がとれる手段は裁判を起こすしかないのです。 裁判を起こしたとしても、従業員に相当の問題行為がない限り、それなりの「やむを得ない事由」を述べて退職した従業員に対しての損害賠償請求が認められることは通常では考えられません。 628条には、過失による場合の「損害賠償」についても記載されていますが、理由があっての退職であれば重大に考えなくてもよいでしょう。 「やむを得ない事由」が自分の過失によって生じたものだとしても、実際に損害が発

欠勤したまま会社を辞めてしまいたい

今すぐ辞めてしまいたい 会社を辞めるには、一般的には上司に退職したい意志を伝え、退職日を合意して、健康保険などの退職手続きをして、貸与されている物品を返却し、最後の給料をもらって勤務を終えます。 ところが、会社で辛いことがあって、もう会社の人と話しをしたくない、顔を見るのも嫌だという気持ちになってしまうこともあります。 辞めたいことを会社に言いだしにくくて、無断欠勤してそのまま辞めてしまおうと思う人もいます。 気持ちは分かりますが、なるべく所定の手続きをしてから辞めましょう。 手続きをしないで辞めればどうなるか 退職の意思表示をしないと、本人は辞めたつもりでも会社の方はそうはいきません。 会社で働くということは、会社との間に雇用契約が成立しているということです。契約ですから、原則として双方の合意がなければ解約できません。 つまり、会社は本人から退職したいという意思表示がなければ簡単に退職手続きを開始できないのです。 ですから、連絡がとれなくなれば会社は連絡を取ろうとします。本人はそっとしてほしいかもしれませんが会社は連絡を取らざるを得ないのです。 解雇される可能性がある 本人の退職意志が確認できなくても、会社が一方的に雇用契約を解除する手段があります。 解雇です。 就業規則に「無断欠勤〇日すれば解雇する」というような規定があれば、その日数が経てば会社はその従業員を解雇する事由が成立します。解雇通知書が送られてくることになります。 解雇されたというのでは世間の印象が違うので、なるべく避けた方がよいでしょう。 無断欠勤のまま辞めるデメリット 会社に在籍したままだと、社会保険料の支払い義務が継続しています。会社に対する借金が増えていくと思わなければなりません。 携帯電話や制服などの貸与されている物品を返却しないで会社に損害を与えると賠償を求められることがあります。 雇用保険の給付を受けるには会社から離職票という書類をもらってハローワークに提出しなければなりません。失業給付の支給が遅れてしまいます。 新しい勤務先を探して入社手続きをするときに、前の会社との雇用関係が残っていると、健康保険や厚生年金の手続きができなくなることがあります。 どうすればよいか 会社に行って、退職したいと言えばよいのですが、できないのであれば退職届を書いて会社に郵送しましょう。 郵送では失礼だと思う

会社を辞めさせてくれないときは

辞めさせてくれないというトラブル 人手不足のせいでしょう。辞めさせてくれないというトラブルが結構あります。 会社を辞めると伝えたのに、退職の手続きをしてもらえない場合、どうしますか? 我慢して働き続けると体調を崩す危険があります。だからと言って、無断欠勤してバックレるのは避けましょう。 関連記事: 欠勤したまま会社を辞めてしまいたい 引き留められたとき 慰留されるということは、認めてもらっているとも言えるので光栄なことですが、口先だけかもしれません。 あなたが欠ければ仕事が滞る、つまり、自分が忙しくなってしまう。 あなたが欠ければ自分の指導能力を疑われるかもしれない。管理職としてのピンチだ。 慰留する上司の気持ちはだいたいこんなものです。 あなたが辞めたいと思ったからには、それなりの理由があるはずです。その原因がクリアしていないのに、押しに負けて残っても、それは上司を利するだけで、あなたは、すぐに後悔する可能性が大きいです。 こんな風に引き留められる 上司は自分が困るので必死になります。 その結果、度が過ぎる引き留めにあうことがあります。一般的には次のようなことを言われるでしょう。 後任が決まるまで頼むよ 「人がいないんだから辞めないでほしい。せめて後任が決まるまでいてほしい」 就業規則に書いてある退職届の期限を守っていれば、応じる必要はありません。もし、就業規則の期限内であっても正当な理由があれば会社は強制できません。 多少の延長は自分の事情が許せば受け入れてもよいでしょうが、ズルズルと引き延ばされないように注意しましょう。初めから引き伸ばしのつもりで言っていることがあります。 改善を約束する 「なぜ辞めるの。その問題は改善するから辞めないでよ」 こういう言葉は、だいたいは信用できません。簡単に改善できることであれば退社を決意するまでのことになっていないはずです。具体的な対応策を聞いて、信用できるかどうか判断しましょう。 部署の異動や仕事量の軽減などについて、具体的に対案を出してくれる場合は、一応検討してみましょう。辞めなくてすむのであればそれに越したことはない場合もあります。 責任感に訴えてくる 「今やめるなんて無責任じゃないか。そういうことではどこへ行っても同じだよ」 これは責任転嫁です。辞めようとする人を悪者扱いする手段です。こんな脅しは気にする必要がありま

転勤してほしいと言われたら

会社は転勤を命令できる 会社に採用されるときには、賃金や仕事の内容などの労働条件について会社と取り決めをします。仕事の内容については、入社後最初に配属される勤務場所や従事する仕事については労働条件通知書などで提示されますが、当初の勤務場所や当初従事した仕事がいつまでも続くということはあまりなく、在籍しているうちに、会社の業務上の必要によって勤務場所や仕事内容が変更されることが一般的です。 これは、わが国の法律やこれまでの裁判例によって、会社に業務上の必要があれば、労働者に配置転換や転勤を求めることが原則として許されることになっているからです。 配置転換の目的は、欠員の補充、上級職への抜擢、職務能力の向上、取引先との癒着防止などがあります。 通常の場合、従業員は転勤を含む配置転換命令を拒否できません。 ただし、雇用されたときに、転勤しないことや職種を変更しないことを約束していたときは別です。また、会社に転勤させる人事権があるとしても、後述するように事情によってはその発令が無効になることもあります。 転勤命令を拒否したい場合 転勤は、本人が望んで受け入れるのであれば何も問題ありませんが、家庭の事情や家族の反対などで受け入れがたい気持ちになることもあります。 転勤しろと言われたらどうにもならないものでしょうか。 いくつか可能性があります。 就業規則はどうなっているか まず、就業規則に転勤についての定めがない場合です。 配置転換は法律的には就業規則の定めによって実施されます。したがって、就業規則に定めがなければ転勤命令を出せません。しかし、配置転換についてふれていない就業規則はほとんど無いと思われます。 雇用契約はどうなっているか 次に、雇用契約で勤務場所が限定されている場合は、会社は転勤を強制できません。 労働条件通知書や雇用契約書で勤務場所が明記されていればそれを根拠にすることができます。また、文書がなくても、入社時に口頭で転勤は無いという約束があるのであればそれも根拠になります。 転勤命令が不当ではないか 次に、権利濫用の問題があります。 転勤命令が「権利濫用」に当たればその転勤命令は無効になります。 判例によると、次のような場合は権利濫用と判断されます。 ① 業務上の必要性が存しない場合 ② 不当な動機・目的をもってなされたものである場合 ③ 労働者に対し通常甘受す

出向してほしいと言われたら

出向とは 出向というのは、現在の会社での従業員という身分を維持したまま、別の会社に行って働くことを命じられる人事異動です。 今の会社を退職して別の会社に行くのは転籍と言います。次のページを参考にしてください。 → 転籍してほしいと言われたら 出向しなければならないか 出向は、会社の社員としての身分は残るものの、勤務場所が変わり、仕事の内容が変わり、勤務時間等の労働条件も違うかもしれないので不安になるものです 出向しろと言われたらどうにもならないものでしょうか。 以前は、就業規則に出向に関する条文があれば、無条件に従わなければならないという考えが主流でした。 今は、労働契約法の定めもあり、就業規則だけを根拠に出向を強制することはできません。 労働契約法の定め 会社は必要があれば従業員に対して出向を命じることができます。 しかし、出向命令が権利を濫用したものと認められる場合には無効となります。 労働契約法第14条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。 出向命令が権利濫用であるかどうかは、出向を命ずる必要性の有無、対象者の選定が適切かどうか等の事情が考慮されると、労働契約法に定められています。 有効な出向命令とは 出向命令が有効であるには次の条件を満たしている必要があります。 就業規則等での定め 就業規則に出向しなけならない旨の定めがある、または、採用時に同意がある場合には使用者には配転命令権が認められます。 就業規則等に根拠があっても、個別に職種や勤務地を限定する約束があれば配転命令は無効になります。 就業規則に出向についての定めがなければ、応じる義務はありません。 出向の必要性 労働契約法に明記されているように「必要性」の無い出向命令は無効です。 必要性には、会社の業績が悪いので余剰人員を子会社に出さなければならない、関連会社の技術力が不足しているので一定の期間応援が必要、などがあります。この場合、会社が説明する必要性は本当なのかということがよく問題になります。 さらに業務上の必要性が認められたとしても、「対象労働者の選定に係る事情」とあるので、出向者の人選におかしなところがあれば出向命令は無効になる可能

転籍してほしいと言われたら

転籍とは 転籍は、雇用契約を結んでいる会社を退職して、会社が指示した会社と新たな雇用契約を結ぶことです。 元の会社との雇用関係が続く出向とは違って、元の会社との雇用関係は無くなります。 会社によっては転籍も出向と呼ぶことがありますが、転籍と出向は全く異なるものです。打診を受けたときは、勘違いしないようによく注意しましょう。 転籍は同意が必要 「子会社に移ってくれ。」と言われましたが、業績の良くない会社で賃金も下がるようなので行きたくありません。断っても大丈夫でしょうか。 転籍は会社員にとっては重大なできごとです。 次の職場が決まっているにしても、現在の会社を解雇されるに等しいのですから、本人の同意がなければ転籍させられません。就業規則に「転籍させることがある」と記載されていても一人一人の個別同意が必要です。 転籍の話しが出されたら、転籍を強制することはできないし、転籍に同意しなかったことを理由に解雇することはできないのですから、落ち着いていろいろと質問しましょう。話し合いは穏やかにするべきですが、会社を出てくれと言われたわけですから質問くらいは遠慮することはありません。 条件を確認する 内心、転籍を承諾するつもりがあっても、条件も確認せずに承諾するのは危険です。転籍先の会社との雇用契約がどのような内容で、それは今の会社との雇用契約とどの点がどれくらい違うのかよく確認する必要があります。 まず、今の会社と転籍先となる会社の経営状況を聞きましょう。今の会社の経営が厳しい状況にある場合は、転籍が状況打開のきっかけになることもあります。ただし、担当者は転籍させようとするあまり、おいしい話しをする可能性があります。説明を鵜呑みにするのでなく、自分でもしっかりと調べましょう。 次に、転属先での従事する業務について聞きます。例えば、経理部に所属していたとして、転籍先でも経理の仕事ができればよいのですが、全く畑違いの仕事が予定されていることもあります。先の会社のことは分からないという返事であれば、誠実さを感じられないので、断る理由の一つになります。 就労する場所も確認しましょう。引っ越しや単身赴任を余儀なくされる場合もあります。また、転籍先の会社の転勤についてのルールも確認しておきましょう。行ったとたんに転勤という可能性もあるからです。 転籍前の賃金や賞与、退職金がそのまま転籍後の

無職になっても健康保険に入らなければならない

退職時に保険証を返却する 会社を退職した場合、健康保険証を返却します。 その後、なんらかの医療保険に加入手続きをしなければなりません。もし、健康保険証を返却せずに使用した場合は、後日、健康保険でカバーされた分の医療費を返還しなければなりません。 健康保険証は退職日の当日までは使えますが、退職日の翌日からは使ってはいけません。 退職後すぐに再就職しない場合は、健康保険の継続を手続きする、市町村の国民健康保険に加入する、家族の扶養者になるの3つの選択肢があります。いずれかを選択し期限内に手続きしましょう。 健康保険を継続する 普通は退職すると健康保険証を返して使えなくなりますが、2ヶ月以上の加入期間のある人が希望すれば、健康保険に継続して加入することができます。 この手続きは退職後20日以内にやらなければなりません。退職後なので会社はやってくれません。 → 健康保険の任意継続被保険者 国民健康保険に加入する 任意継続をしない場合は、退職後14日以内に市区町村の窓口に出向いて国民健康保険の加入手続きをしなければなりません。 届出期間を過ぎると加入できないということはありませんが、いつ病気などになるか分かりません。 また、届出前にさかのぼって給付されることは原則ありません。さらに、届出前の保険料を請求されることになります。 → 国民健康保険について 家族の扶養者になる 家族に扶養される場合は、その家族の健康保険の被扶養者になる方法があります。 被扶養者になれる親族の範囲や収入条件が決められています。年収が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)未満の場合は可能性があります。 家族の扶養者になれるのであればそれが一番お得ですね。 → 健康保険の被扶養者 負担が少ない方を選択する 任意継続にするか、国民健康保険に加入するかは、保険料を比べて安い方に入りましょう。 任意継続した場合の保険料は、会社負担が無くなるので、退職時に給与から引かれていた健康保険料の2倍の金額を納付することになります。 ただし、上限があって、32,816円を超えることはありません。 詳しくは会社の担当者に聞くか協会けんぽのホームページで確認して下さい。国民健康保険料は市町村の窓口で教えてくれます。 また、退職した直後の国民健康保険料が高くても、その後の収入によっては(前年の所得によるので、すぐ

退職してほしいと言われたら

応じる必要はあるか 「解雇する」ではなく、「退職してくれませんか」と言うことを「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」といいます。 退職勧奨すること自体は違法ではありません。ただし、ことさらに多数回あるいは長期にわたる勧奨や、いたずらに不安感をあおるような言動は違法性があります。 退職勧奨は会社側の希望にすぎないので強制力はありません。 退職勧奨による退職は会社都合退職です 「わかりました」と承諾した場合、会社から辞めてほしいと言われたはずなのに、いつの間にか自己都合退職にさせられていることがあります。 充分に注意しましょう。 退職勧奨に応じた退職は、「自己都合退職」よりも優遇される「会社都合退職」となり、雇用保険の「基本手当の受給額」で有利になります。 退職時の手続きの一つである「雇用保険被保険者離職証明書」を渡されたときに、退職理由の欄をしっかり読んで、事実と違うことが記載されていたら不用意にサインしないようにしましょう。 業績悪化に伴う退職勧奨 会社の業績が低下して、人員を削減するために退職勧奨をすることがあります。 「売り上げが下がっているのは君も知っていると思う。もう誰かに辞めてもらうしかないんだ。君は扶養家族もいないし、若いからどこへ行っても大丈夫だろう。君の将来を考えてできるだけ円満にしたいから退職願いを出してくれないか」 このような場合は、経営環境が本当に厳しいのであれば、会社の先行きが怪しいのですから、退職金の上乗せなどの条件次第では受け入れた方が得策の場合もあります。 ただし、会社が危ないという話しは誇張されていることがあります。部門の成績が良くないときに、とりあえず人数を減らして生産性をよく見せようとする上司の企みかもしれません。 なので、退職をすすめられても即答してはいけません。雰囲気におされて受け入れてしまっても「やっぱりもう少し考えてみます」と話しを戻しておきましょう。その上で、会社の状況を冷静に見渡し、信頼できる人に相談してみましょう。もっとも、誰が信頼できるかが難しいですが。 特定の人に辞めてほしい退職勧奨 会社の業績とは関係なく、特定の人に辞めたほしいが解雇という手段はとりたくない場合に、退職勧奨する場合があります。この場合はいろいろな言い方があります。 「係長が君を使いづらいと言っているけど、どうなんだね?」 「君はこの仕事に向いてい

雇用契約を更新しないと言われたら

雇い止めのルール 「1年契約で更新してきましたが、今年で最後にすると会社から言われました」 いつからいつまで雇用されるという雇用期間が決めて働いている場合は、その期間が終るときに雇用契約が終了します。これを「雇い止め」といい、違法ではありません。 しかし、場合によっては、雇止めを撤回させたり、予告期間をもらえる場合もあります。 有期雇用でない場合もある 社内で契約社員と呼ばれているので有期雇用だと本人が思い込んでいる場合もあります。契約社員でもすべてが有期雇用とは限りません。契約書や労働条件通知書などを確認しましょう。契約期間について記載されてなければ無期雇用契約ということになります。雇い止めは適用されません。 実質的に無期契約になっている 形式的には雇用期間を定めた契約であっても、実質的には無期契約と同様だと判断される場合がは雇い止めが認められない場合があります。 雇い止めが無効になる場合 雇止めが無効になるのは次のようなケースです。 1 雇用契約の更新手続きがルーズで書面の契約書を作っていない、または、作っていても特に協議も説明もなくほぼ自動的に更新が繰り返されていた 2 「いつまでも働いてほしい」などと声をかけられた 3 正社員と同じような仕事をして周りから期待されていた 4 これまでに有期労働者で雇止めされた人がいない 上記に一つ以上当てはまる場合は簡単に雇止めできません。どうしても辞めさせるというのであれば、解雇する場合と同様の基準が適用されます。これはパートでも同様です。「正社員じゃないから仕方がない」とあきらめる必要はありません。 まずは会社に、あらためて更新をお願いしましょう。また、更新できない理由も聞きましょう。 次に雇止め理由書の交付を求めましょう。労働者が雇止めの理由について文書を請求したときは、労働基準法第14条に基づく告示(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」平15・厚労省告示第357号)に基づいて使用者は遅滞なく交付する義務を負っています。 雇い止めでも予告が必要な場合 有期解約を締結している労働者(有期契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている者に限る)に対して、雇い止めをする場合には、少なくとも契約期間満了日の30日前までに予告しなければならないことになっています。 ですから、上記の条件に当てはま

解雇すると言われたら

解雇できない場合があります 次に該当する場合は、解雇できないことが労働基準法などに定められています。 □ 業務上の傷病により休業している期間と、その後30日間 □ 産前産後の休業をしている期間と、その後30日間 □ 女性であること、あるいは女性が結婚、妊娠、出産、産前産後の休業をしたという理由による解雇 □ 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇 □ 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇 など 上記に該当する場合は、解雇を受け入れる必要はありません。 解雇を受け入れるかどうか決断する 解雇だと言われて「わかりました」答えれば決定してしまいます。そうした解雇は不当だと主張して争うこともできます。 まず、解雇を受け入れる場合について述べます。 業績不振等による整理解雇であれば、何らかの優遇措置があることが多いので、説明をしっかり聞きましょう。 不始末や能力不足等の個人的理由で解雇される場合は、解雇されてもやむを得ない事情があるとしても、解雇されたという事実は後々まで影響することがあるので、できるだけ解雇されるのは避けましょう。 自分に非がある場合には「退職願いを出すので解雇ではなく自主的な退職の扱いにしてくれませんか」と頼んでみましょう。場合によっては「退職してくれというのなら受け入れますが、これくらいのことで解雇されるのは納得できないので争うことにします」と(本心は争う意思がないとしても)主張するのも一手段です。受け入れてもらえれば通常の退職手続きになります。 解雇の場合、30日の解雇予告期間か30日分の平均賃金を受け取ることができます。 法律で認められた権利なので臆することなく請求しましょう。(ただし、懲戒解雇の場合で労働基準監督署長の承認を得たときは解雇予告はいらないことになっています) 解雇に納得がいかない場合は次の記述を参考に対抗してください。 解雇なのかあらためて確認する 「解雇だ」とはっきり言われたときは明確ですが、はっきりしない言い方をされる場合があります。その場合、会社の方は、自主的な退職にもっていこうと考えている場合が多いです。 「解雇なんですか」などと、解雇であることを確認しましょう。そして、何月何日で解雇なのか、解雇の理由は何か、この3つを質問し、誰がいつどこで言ったのかも含めてメモをとっておきましょう。答えが無くてもその状況をメモしてお

まずは会社内で解決できないか試みる

誰に相談するか 問題が生じたときは、普通は上司に、その上司に問題があるときはさらに上の上司に相談します。 会社は労働者が働きやすい職場環境をつくる配慮義務があり、相談窓口を設置して発生したときの対応をとることになっています。 したがって、セクハラやパワハラなどの被害を受けたときは、まず社内に設置された相談窓口、相談窓口がないときは上司や人事部門などに被害を申告し、解決を求めましょう。 窓口が分からなけば、総務か人事関係の人に聞いてみましょう。 最初からあきらめない どうせ聞いてくれない、と思い込んで相談しない人が多いのが現実です。あきらめて我慢しているうちに体調をこわす人もいます。自分を粗末にしてはいけません。 特に、勤務年数が少なかったり、パート、アルバイトなど、会社の仕組みがあまり理解できていない人ほどすぐにあきらめがちです。同僚から「しゃべっても無駄」と根拠のない話しを聞かされて本気にしてしまうこともあります。 確かに、会社というところは、不始末を隠そうとする傾向があり、また自分のことしか考えていない無責任な上司が多いことも事実だと思います。 ですが、全部がそうだとも言い切れませんから、最初から当たらずにあきらめてはいけません。すぐに修復が可能なものもあるかもしれません。 もし、取り上げてくれないとしても相談しても対応してくれなかったという事実は残ります。これが後で効いてきます。 話を持って行く手順 言うべきことを整理する 社内で主張するのはとても難しいものです。どのように話を持って行くか、じっくり考えましょう。 どのように話をするか、原稿を作るくらいでないと、緊張して、思っていることを伝えられなかったり、誤解されてしまうことがあります。話すべき内容を整理することはとても大事です。 うやむやにされることもあるかもしれませんから、できるだけ、客観的な証拠をもって申告することが必要です。 証拠といっても録音やメールの記録だけでなく、いつどこでどのような言動をされたのか、本人が記載した詳細な記録も充分に証拠となります。記憶の新しいうちに記録しておきましょう。 ただし、これらの証拠物件は、(弁護士以外の人には)絶対に現物を渡してはいけません。もみ消されることを考えて、渡すのはコピーや要約だけです。事前に準備しておきましょう。 周りの人に相談する 家族や会社以外の友人に

懲戒すると言われたら

懲戒処分とは 従業員が会社の秩序維持に違反する言動があったり、定められた手順を守らずに会社に損害を与えた、などのとき、会社は、違反の内容や程度に応じて懲戒処分することができます。 どのようなときに、どの程度の懲戒処分をするか、また、どのような手続きで処分するかはその会社の就業規則に定められています。懲戒処分の可能性があるときは、まず就業規則の内容を確認する必要があります。 懲戒処分の種類 一般的には懲戒処分には次のようなものがあります。会社によって異なります。 戒告(注意し始末書を求める) 減給(給与を減額する) 出勤停止(無給で出勤を停止する) 諭旨解雇(会社を辞めてもらう) 懲戒解雇(会社を辞めさせる) 上から順番に重い処分になります。 懲戒処分に対する対抗手段 懲戒処分をされ、納得がいかないときは次の対抗手段が考えられます。 会社に対して異議を述べる 労働契約法に懲戒処分の制限規定があります。 労働契約法第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。 「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、次のような点が考慮されます。 □ 懲戒の対象になった行為は、懲戒対象事項として就業規則に記載されているか □ 通告された処分の種類は就業規則に記載されているか □ 行為の内容等に比べて処分が重すぎないか □ 過去に同じような行為をした者と比べて不公平な処分ではないか □ 減給処分の額が労働基準法の制限内になっているか □ 同僚の行為なのに巻き添えを食っていないか □ 同じ事案について重ねて処分されていないか □ 弁明を聞いてくれたか 上記の一つでも該当することがあれば、不当性を主張することができます。 外部に対処を求める 労働基準監督署への申告 職場に労働基準法違反の事実がある場合に、これを申告するのは労働基準法に認められた従業員の権利の一つです。 例えば、減給処分の額が労働基準法の制限を超えているのであれば、労働基準監督署に申告して是正してもらうことができます。 労働基準法第104条 事業場にこの法律(労働基準法)又はこの法律に

クレーマーが現れたら

まずは丁寧に対応する クレームというのは、苦情を述べるという意味で使われています。 一般的には、何か自分にとって不愉快なことや不利益なことがあれば、それを申し立てるのは当然のことです。クレームは悪いことではありません。 そうした正当なクレームに対しては、丁寧に対応しなければなりません。 ただし、要求する内容が不当だったり、一般的な人が使わない威圧的な言動で要求してきたり、あるいは、最初から会社を責め立てるつもりで要求を掲げてくる人は別です。 ここでは、そういう人をクレーマーと呼ぶことにします。 クレーマーには一人で対応しない クレーマー対応は、実に大変な仕事です。 仕事だと割り切ろうとしてもかなりのストレスになります。 クレーム対応を苦にしてうつ病なってしまう人もいます。決して一人で背負い込んではいけません。 クレーマーは、個人を攻撃して、個人を追い込み、個人を取り込むことを狙います。押してだめだとみると時には「お前の立場もわかるよ」などと引いてみたりします。 個人の携帯番号やLINEを聞き出そうとします。絶対に教えてはならず、心ならずも知られてしまったときは遠慮なく着信拒否などの手を打ちましょう。 クレーマーは、相手に対する思いやりが欠如した人が多いのです。善意どころか、普通の対応を期待することは全く見当違いです。 一人で対応すれば、クレーマーのプレッシャーに耐えられなくなって冷静な判断ができなくなります。 複数で対応しても上司が無能力だと同じです。その場合は、職場に波風が立ってもさらに上の上司に話しを持って行きましょう。 会社全体が逃げ腰で「それくらいお前が対応しておけよ」などと、卑怯な手に出てきたら、そんな会社はその日をもって辞めてしまいましょう。それくらい大変な問題なのです。自分を守るのが先です。 クレーマーのやり口を理解する クレーマーは、説明しても納得せずに同じことを繰り返します。説明を拒絶し、威圧的に同じことを要求します。これは、相手の心を折るためにわざとやっているのです。 やりとりに疲れてしまって妥協してくることを狙って責めているのです。 そして、少しくらいであればと思って譲歩すると、それで済みません。 例えば、悪くないのに「謝れ」と言われて、謝れば済むと思って、言われるように謝ってもそれで終わることはありません。 金品などの利益を得たいなどという本

マタハラされたらどう対応するか

マタハラとは マタハラはマタニティー・ハラスメントの略で、育児休業等、労働基準法の母性保護措置、男女雇用機会均等法の母性健康管理措置を受けようとしたことを理由とする上司や同僚などによる嫌がらせ、解雇や雇い止めされるなどの不当な扱いを意味する言葉です。 マタハラの例 妊娠前に、 「今年中に妊娠することはないだろうな」 「育児休業を取得するつもりか」 「入社してから3年は子どもを作ってほしくない」 こういったことはマタハラにあたります。 もちろん、採用面接でも同様です。女性の妊娠プラン、育児休暇の取得予定などを採用基準にすることはマタハラにあたります。 妊娠が分かってから、 「ウチでは育児休暇は無理だ。悪いが辞めてくれ」 「どれだけ周りに迷惑をかけるのかわかっていいるのか。」 「周りに迷惑をかけるのだから自分で考えてほしい」 などといい、制度を利用しづらい環境にし、退職を誘導することなどはマタハラです。 配偶者の出産に関連して休みをとる男性に対して「俺のときは、生まれた日にも仕事をしていた。それが男として当たり前だ」などと言うこともマタハラです。男性に向けられるものはパタハラ=パタニティーハラスメントということもあります。 マタハラされたときの対応 マタハラ・パタハラは男女雇用機会均等法や育児介護休業法などに違反する行為です。被害を受けたときは民事上の損害賠償請求をする権利があります。 マタハラについては、社内に相談窓口を設置することになっています。困りごとがあったらまずは社内の相談窓口に相談しましょう。 社内の相談窓口を利用しても改善されない場合は、労働基準監督署等に設置されている総合労働相談センタなどに相談しましょう。 悪質なケースは、弁護士に相談しましょう。マタハラにより解雇(退職に追い込まれた場合を含む)・雇い止め・降格などに至ったときは、裁判を起こせばほぼ勝つことができると言われています。 トップページ > 職場でトラブルになったら >このページ

パワハラされたらどう対応するか

パワハラとは 「パワハラ」とはパワーハラスメントの略で、職場の優位的な地位を利用しての嫌がらせなどいいいます。 厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」に、次のように書かれています。 「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」とされています。 上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれます。 パワハラの代表的な行為類型は以下のとおりです。 ・身体的な攻撃(暴行・傷害) ・精神的な攻撃(脅迫・暴言等) ・人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視) ・過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害) ・過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること、仕事を与えないこと) ・個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること) 加害者および会社の責任 加害者は、その行為の態様によって不法行為が成立して損害賠償の責任を負います。相手が精神的な疾患にかかったなどの事情があれば、損害賠償の金額としても高額となります。さらに、暴行事件・傷害事件として刑事罰の対象となることもあります。 会社は、労働契約法の安全配慮義務違反、そして使用者責任により不法行為が成立する可能性があります。 理不尽な仕打ちを我慢して体調を損なっては何にもなりません。我慢せず、周りの信頼できる人に相談して、声をあげていきましょう。 トップページ > 職場でトラブルになったら >このページ

セクハラされたらどう対応するか

セクハラとは セクハラは、セクシュアルハラスメントの略で、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること」又は「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること」をいいます。 「労働者の意に反して」ということは、相手に悪意があるかどうかは関係ありません。受けた方が不愉快に感じた場合はセクハラになると思ってよいでしょう。 セクハラは、「対価型」と「環境型」との2つに分けられます。 「対価型」は性的な言動に拒否・抵抗などをしたことで、解雇、降格、減給などの経済的な不利益を受けることです。 「環境型」は、性的な言動によって就業環境が不快なものになり、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの見過ごすことができない程度の支障が生じることとされています。 会社は対策をとらなければならない セクハラについて、男女雇用機会均等法により事業者にその対策が義務付けられています。 事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければなりません。具体的には、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、その他の措置です。具体的には、相談窓口の設置、社内規定の整備、社内教育・啓蒙などを行うことです。 セクハラされたらどうすれば 性的な言動に不快な気持ちをもっても、相手との関係を損なうことを恐れたり、この程度であればセクハラだと認めてもらえるかどうかと不安に思い、声を上げることをためらってしまう人もいると思います。 まず、基本的な考え方としては、あなたが望まない言動であれば、それは「セクハラ」と考えてよいのです。軽い気持ちでしたことだとか、冗談だとか言われても、簡単に受け入れたり許してしまうのではなく、セクハラとして対処しなければなりません。 また、セクハラを受けた被害者が、自分にも悪いところがあったのかも知れないと思うことがあるそうです。「望まないこと」をされたり言われた方が被害者です。そのようなことをした相手が加害者です。被害者が責任を感じる必要は一切ありません。 嫌な言動を受けたらN0と言うようにしましょう。 勇気を出して、「これはセクハラです」「やめてください」「セクハラをやめてください」とはっきり言いましょう。 訴えるためには記録が大事です。 どうい

生まれたときの届出

赤ちゃんが生まれたときは、次の手続きをしなければなりません。 市区町村に出生届を出す 赤ちゃんが生まれたら、産まれた当日を含む14日以内に市町村役場に出生届を出さなくてはいけません。名前が決まったらできるだけ早く届け出ましょう。出生届を出すことで赤ちゃんは父母の戸籍に記載され、住民票にも記載されます。 出生届は、児童手当の申請や予防接種、医療費助成などの関係があるので、原則として親の住民票のある市町村に提出しましょう。里帰り出産などの場合、出生地の市町村に出生届を出すこともあります。 国外で生まれた場合の届出期限は3ヶ月以内です。遅れると日本国籍をとれない場合もあるそうです。 出生届の用紙は、病院や産院で出してくれる出生証明書の用紙を使います。出生届と出生証明書は一枚の紙になっているのです。 持参するもの(他の届出も一緒にやるために) ・出生届 ・印鑑出生届に押印しますが、他にも使うので持参して下さい。 ・母子健康健康−手帳 「出生済み証明」の欄に証明印をもらいます。 ・届出者の身分証明書−本人確認できるものを持っていった方がよいでしょう。 ・預金通帳−手当の振り込みのためです。 赤ちゃんの健康保険証を手に入れる 赤ちゃんを国民健康保険に入れる手続きをします。会社勤務で健康保険に入っている人は会社を経由して手続きします。 乳幼児医療証を手に入れる 赤ちゃんの健康保険証が手元にきたら、出生届出済証明が記入された母子健康手帳と親の預金通帳とハンコをもって、乳幼児医療費助成の手続きをしましょう。 乳幼児健康診査は、乳児期に1〜2回と、1歳6ヶ月児、3歳児に対して実施しているところが多いです。 児童手当などの手続きをする 子供が産まれると児童手当を受給できます。場合によっては、児童扶養手当や特別児童扶養手当を受給できます。 → 児童手当・児童扶養手当・特別児童扶養手当 出産育児一時金を請求する 加入している健康保険から出産育児一時金が支給されます。本人か配偶者が会社の健康保険に入っている場合は、会社を経由して手続きします。国民健康保険の加入者は市町村で手続きします。健康保険から直接病院に費用を支払う直接支払制度を利用した場合は、病院が用意してくれた書類に記入するだけで手続きが済みます。退職後でもそれまでに1年以上会社に勤務し、退職後6ヶ月以内であれば支給されます。ただし、家

妊娠の届出

妊娠届出書 妊娠したことがわかったら居住地の市町村役場(市立の保健所のある市は保健所)に妊娠を届け出ましょう。 市町村によって若干の違いがあるようです。まずは、お住まいの市町村のホームページで確認しましょう。届出書のダウンロードができるところが多いです。 体調が悪いときは、家族などでも届けができます。委任状が必要かどうか問い合わせてから行きましょう。 母子健康手帳 妊娠を届け出ると、母子健康手帳が交付されます。 妊娠12週(妊娠4ヵ月)から母子健康手帳への記入が始まるので、遅くてもそれまでには母子手帳をもらっておくとよいです。 母子健康手帳の発行時に、両親学級や健診、予防接種などについて、簡単な説明や指導があることが多いようです。 他市町村に転出したときは、転出先の市町村に届出が必要ですが、母子健康手帳はそのまま使用できます。 妊婦健康診査 妊娠中は妊婦健康診査を受けましょう。妊娠届をだすと妊婦健康診査の助成を受けることができます。 定期的な健康診査の受診目安 (1)妊娠満23週までは、4週間に1回 (2)妊娠満24週から35週までは、2週間に1回 (3)妊娠満36週から分娩までは、1週間に1回 これらの時間は法律で保証されています。妊婦健康診査の時間を与えるのは勤務先の義務です。 トップページ > 妊娠・出産・育児について >このページ

忙しすぎる

適正な労働時間で働く 労働者の労働時間は法律で1日8時間、1週40時間を超えてはならないと決まっています。1日の労働が6時間を超える場合は休憩を与えなければならない、1週に1回又は4週に4回は休日を与えなければなりません。 この時間を超えて働くことを残業といいます。残業が悪いとは一概には言えません。労使協定の範囲内の時間数で、残業手当がきちんと払われ、かつ、疲れがたまらない範囲で働けるのであれば、ほぼ問題ないはずです。 度を超えて忙しい、つまり、自分や家族のためにつかえる時間が少なくなり、はては食事や睡眠にも影響がでるようになれば、いずれ健康を損なうのが目に見えています。 仕事以外のことを犠牲にしなければならないような長時間労働は異常ですから、周りの人の意見も聞きながら、改善の努力をし、改善できそうになければ、体を壊してまで働くことはないので、辞めたほうが良いでしょう。 まずは、忙しさがどこからくるか分析しましょう。 人手不足での忙しさ 人手不足で忙しい場合は、あなただけでなく、職場全体が忙しいと思います。 上司が生産性を気にして、あえて少ない人数でやり遂げて会社に管理能力をアピールしたいためにやっている場合もあります。 また、上司が人手不足を上に訴えていても、経営層が少ない人数でやっていきたいということでブレーキをかけていることもあります。 いずれにしても、恒常的に人手不足の職場では、定時に帰れず、休暇もとれずという状態がいつまでも続きます。 体質が古い会社 パソコンを使えば簡単に作成できる書類を手書き作っている会社もあります。チェック機能が行き過ぎて仕事が複雑に過ぎる会社もあります。 専門のところに外注すればよいものを無理に自製する会社もあります。 少し見直しすることで改善できるのですが、意思決定者の頭が古いとなかなか改善が進まず、結果として人海戦術ということになり、忙しさが収まりません。 自分にも責任があるケースもある 忙しくなる人は、完璧主義の人が多いと言われます。それも、自分が納得すればというより、他人の目に完璧に見てほしい気持ちが強いようです。 立派な成果を出せているときは良いのですが、全てうまくいくことはそんなにありません。そのやり方を続けていては、自分か仕事かどちらかがいずれパンクしてしまうことを心配しましょう。 こんな対策をしてみよう 定時に帰る努

親を健康保険の扶養に入れる

親を扶養に入れるメリット メリットとしては、親の健康保険料が無料になります。本人は、健康保険料が上がるわけでなく、税金の面で、所得税、住民税を節約でき、親の医療費控除を利用できるようになります。 ただし、 75歳以上の親は後期高齢者医療制度に加入し、後期高齢者医療の保険料を払わなければならなくなります。健康保険の扶養に入れることができるのは75歳未満の場合です。 また、 親が75歳未満でも、子供の扶養に入ることで、親の所得区分が現役並み世帯となる可能性があります。そうなると高額療養費の上限が上がるので、結果的に医療費の自己負担額が上がってしまうことがあります。 親を扶養に入れる条件 以下のいずれにも該当している必要があります。 親の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者であれば180万円未満) 別居している親であれば、親の収入が子からの仕送り額未満 同居している親であれば、親の収入が子の収入の半分未満 別居している親であれば、例えば、親の収入が毎月10万円であり、子が10万円を超える額を仕送りしていれば、扶養に入れることができます。 同居している親であれば、例えば、親の収入が毎月10万円であれば、子の収入が20万円を超えていれば同じく扶養に入れることができます。 同居している場合は、条件をクリアできる可能性が高いと思われます。別居の場合の、親の収入を上回る仕送りという条件は、なかなかに高いハードルです。 扶養に入れる手続き 上記の条件を満たしていれば、会社の人事に手続きをお願いします。 以下の書類が必要になります。 同居している親の場合 ・年間収入を確認できる課税証明書等の書類 ・世帯全員の住民票 ・親の課税(非課税)証明書 別居している親の場合 ・年間収入を確認できる課税証明書等の書類 ・親の戸籍謄本(続柄が分かる必要があります) ・仕送りを証明する書類(相手方名金額が記載されている預金通帳、現金書留の控えなど) トップページ > 健康をそこねたら > 健康保険について >このページ

健康保険の被扶養者

被扶養者の範囲 健康保険では、扶養する家族が病気になったりけがをしたときや亡くなった場合、または、出産した場合に保険給付が行われます。 関連記事:健康保険の家族に対する給付 被扶養者というのは、一般的には配偶者や子どものことを言いますが、それ以外にも割に広く認められています。 基本的には被保険者の三親等以内の親族です。被保険者の直系尊属(自分の祖父母、曾祖父母)、配偶者子(自分とは血縁の無い子)、孫、弟妹、兄姉です。 戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の配偶者については配偶者本人、その父母および子も被扶養者になります。 血縁関係が遠くなると、同居が条件になる場合があります。 75歳になると、後期高齢者医療制度の被保険者になるので、健康保険の被扶養者になれません。なっていた人は外れます。 被扶養者だった人が就職して自身が被保険者になったり、別居や離婚等で生計が別になったり、収入が基準以上に増えたときは被扶養者から外す手続きをとらなければなりません。 速やかに会社に申し出て被保険者証を返却しましょう。もし使ってしまえば、該当した日以降の医療費等は返還しなければならなくなります。 生計維持とは 「主として被保険者に生計を維持されている人」という条件があります。 これは、被保険者の収入により、その人の暮らしが成り立っていることを意味するのですが、被保険者といっしょに生活をしていなくてもかまいません。別居でも認められます。 ただし、以下のような収入による判断基準があります。 同一世帯に属している場合の収入基準 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。 (被保険者の年間収入を上回らない場合には、被扶養者となる場合があります。) 同一世帯に属していない場合の収入基準 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額(いわゆる仕送りの額です)より少ない場合には、被扶養者となります。 関連記事: 親を健康保険の扶養に入れる 国内居住要件とは 原則として国内に居住してい

健康保険における第三者行為

ケガをさせられたときは けんかをして負傷したときは、原則として健康保険を使えません。あえてケンカを売ったのであれば、すすんでケガをしたようなもの、故意か重大な過失とみなされるからです。 しかし、同じケンカでも、例えば街を歩いていて一方的に殴らるなど、自分に非が無いにもかかわらずケガをさせられることがあります。こういう場合は、健康保険を使えます。 ただし、この場合は、殴ってきた人(第三者)に責任があるので、治療代はその第三者が負担するべきものです。したがって、健康保険はあなたにかかった医療費をその第三者に請求します。 そこで、責任を負うべき第三者がいるときは、保険者に「第三者行為による傷病届」を提出することになっています。 保険者は、この届出を受けて、本来は加害者が支払うべき分、肩代わりした分を加害者に請求します。 なお、警察への届け出が必要です。加害者が名前を告げずに立ち去ったなど、どこの誰か不明のときも、警察への届出、第三者行為による傷病届」は加害者不明という記載で提出します。 第三者行為の例 第三者行為には次のようなものがあります。 自転車同士または自転車と歩行者による事故でケガをしたとき。 スーパーなどの設備の欠陥等でケガをしたとき。 他人の飼い犬などによりケガをしたとき。 不当な暴力を受け、ケガをしたとき。 飲食店で食中毒にあったとき。 ゴルフ場などで他人の不注意によりケガをしたとき。 交通事故の場合 交通事故も第三者行為です。 交通事故で、どちらもがケガをした場合、どちらにも何らかの過失があることがほとんどです。 その場合、両方ともに加害者であり、同時に被害者となります。よってお互いに第三者行為が成立します。 保険者に「第三者の行為による傷病届」の提出が必要です。 わき見運転等による自損事故によって同乗者がケガをした場合、運転者が加害者となる、第三者行為となります。したがって同乗者が健康保険で治療を受けた場合は「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。 また、交通事故の場合は、交通事故証明が必要になります。警察への届出がないと発行されないので、必ず警察へ「人身事故」として届け出る必要があります。その際、診断書を提出しないと「人身事故」になりません。「物損事故」になると治療費が請求できない場合があります。 関連ページ: 交通事故と健康保険 トップページ >

健康保険の療養の給付

療養の給付とは 健康保険の被保険者が業務以外の事由により病気やけがをしたときは、健康保険で治療を受けることができます。 一般的には「健康保険を使う」などと言いますが、正式には「療養の給付」といいます。 療養の給付の範囲 1.診察 2.薬剤または治療材料の支給 3.処置・手術その他の治療 4.在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他の看護 5.病院・診療所への入院、その療養のための世話、その他の看護 療養の給付の受け方 病気やけがをしたときは、健康保険を扱っている病院・診療所に「被保険者証」を提出します。 自己負担額を支払い、診察・治療・薬の支給・入院などの治療を受けることができます。 自己負担額 70歳未満の人の自己負担額は3割です。 70歳以上75歳未満の人は高齢受給者制度が適用になり、75歳以上の方は、後期高齢者医療制度の対象になります。したがって、70歳以上の人は自己負担額が異なります。 労災保険を使うべきだったときの扱い 業務災害や通勤災害で受診する場合は、健康保険ではなく労災保険を使わなければなりません。しかし、労災保険に対する理解不足等の理由により、健康保険で受診してしまった場合には、次のように軌道修正しなければなりません。 健康保険の保険者に7割相当分を返還します。その上で、窓口負担分と合わせて「療養の費用請求書」に領収書や請求書等療養に要した費用を証明する書類を添付して、直接、所轄労働基準監督署長あて請求します。 その際、費用請求書に診療の証明が必要です。請求書裏面の「療養の内訳及び金額」欄は、診療報酬を返還する時交付されたレセプトの写しを添付すれば記載は必要ありません。 →労災保険の療養(補償)給付 なお、治療を受けた病院が労災指定病院で、はじめて治療を受けた月中に変更するのであれば、その病院で労災に切り替えて精算してもらえる可能性があります。この場合は、7割相当分の返還はしなくて済みます。 労災保険を使うことに抵抗感を持つ事業主が少なくないとのことですが、「労災隠し」は法律違反です。あとあと面倒なことになりかねません。「労災隠し」は目先は得をした気分になるかもしれませんが、企業にとっては大きなリスクを背負い込むことになりかねません。 交通事故の健康保険 交通事故の被害者になったときは、健康保険が使えないわけではありませんが「第三者行

健康保険からどんな給付が受けられるのか

 保険給付とは 健康保険は、業務外で発生した病気やけが、または、出産および死亡した場合に定められた各種の給付金を支給します。これらの、診療を提供したり給付金を支給することを「保険給付」といいます。 業務外の病気やケガが対象です 業務外の原因で病気やケガをしたときに、健康保険を扱う病院や診療所の窓口で保険証を提出すると、次のような療養を受けることができます。 診察 薬剤または治療材料の支給 処置、手術その他の治療 在宅療養・看護 入院・看護 勤務中や通勤途中のケガなどは労災保険の扱いです 健康保険は、業務外の病気やけがに対して給付を行うものなので、勤務中や通勤途中のでケガをしたときや、勤務や通勤が原因で病気になったときは労災保険の扱いになります。重複して給付を受けることはできません。 なお、業務上の負傷等でも労災保険の給付対象とならない場合は、健康保険の給付対象になる場合もあります。 給付の種類 療養の給付 保険外併用療養費 療養費 高額療養費 訪問看護療養費 入院時食事療養費 入院時生活療養費 移送費 傷病手当金 出産育児一時金 出産手当金 埋葬料(費) 家族への給付 トップページ > 健康をそこねたら >このページ

知らないと損をする健康保険の利用術

健康保険とは 健康保険は労働者やその家族が、病気や怪我をしたときや出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をする制度です。具体的なことは健康保険法に定められています。 健康保険は、病気やケガのときに、かかった医療費の3割負担で済む制度ですが、それ以外にもいろいろな給付があることを知っていますか。また、負担が高額になったときは上限以上は払わなくてもよい制度や、休業中の所得補償をもらえる制度もあります。 ほとんどの制度は自分で手続きしないともらえません。知らないで損をしないように健康保険についてを知っておきましょう。 健康保険の給付 病院に行く時に持って行く保険証は、健康保険に加入することでもらえます。これにより、本人が病院の窓口で払う額が原則治療費の3割となります。他にも、病気やケガで仕事を休んだ時の傷病手当金、出産で休んだ時はの出産手当金、出産したときの出産育児一時金、家族出産育児一時金などの給付制度があります。 → 健康保険からどんな給付が受けられるのか 医療費の負担が高額になったときは、一定額を超えた分が返戻または支払いが不要になる制度があります。 → 健康保険の高額療養費 になる制度があります。 70歳~75歳未満は自己負担率が変わります。 → 健康保険の高齢受給者制度 不正利用は法律違反です。 → 健康保険の給付制限 交通事故など、ケガなどの原因を作った人がいるときは手続きが必要です。 → 健康保険における第三者行為 健康保険証を手に入れるには 健康保険が適用される事業所に勤務する 健康保険は、 ① 国、地方公共団体又は法人の事業所(つまり、株式会社・有限会社等の法人組織は1人でも働いていれば対象になります) または、 ②常時5人以上を雇用する個人事業所(農林、水産、サービス業、法務業、週競業は除かれます) では強制適用となり、そこで働く労働者は健康保険の加入者となります。 一定以上の労働時間が必要です 派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、アルバイトでも、1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上あれば加入させる必要があります。 → 社会保険の被保険者 4分の3未満であっても、 ① 週の所定労働時間が20時間以上 ② 月額賃金が8万8千円以上 ③ 勤務期間が1年以上見込まれること ④ 学生ではない

在職中に初診日があれば遺族厚生年金と障害厚生年金の対象になる

退職後の遺族厚生年金 遺族厚生年金は、在職中に亡くなった方の遺族に支給されるのが一般的ですが、会社を辞めてからでも遺族厚生年金が出る場合があります。 1.退職後5年以内の死亡であること。 2.死亡にかかる病気の初診日が在職中にあること。 他に、死亡月の前々月までの全期間の3分の2以上保険料を納付しているか、または、死亡月の前々月まで1年間、保険料の滞納がないことという保険料納付要件を満たしている必要があります。 退職後の障害厚生年金 初診日が在職中にあれば、退職後であっても障害厚生年金が受給できます。同時に障害基礎年金も受給できます。 障害年金を受給できる場合では、基礎年金だけの場合と厚生年金も受給できる場合は給付額で大きな違いがあります。 また、障害厚生年金には比較的軽度でも受給できる3級というのがあります。基礎年金には3級がありません。この違いも大きいです。 仮に、具合が悪いのに病院に行かずに勤務を続けて、退職後に初めて診察を受けて、その後、亡くなったり、障害をおったりした場合は、初診日が在職中でないので、遺族厚生年金や障害厚生年金の受給ができません。 特にメンタル面の問題で退職する場合はなんとしても退職前に医者にかかっておきましょう。 基準になるのは初診日です。会社を辞めていても初診日が在職中であれば障害厚生年金の対象になります。 初診日というのは、その病気で初めて病院に行った日です。 障害年金の請求には、最初にどの病院に行ったか、それは何月何日であったかを示す証拠が必要です。診療関係の記録は捨てないで長期間保存しておく習慣が大事です。 トップページ > 退職する前に知っておくべきこと >このページ

退職届を提出してからの流れを把握しよう

去る会社より自分を大事に 退職は、辞めさえすればよいというものではなく、次の仕事に就くまでの一連の流れとして考えなければなりません。去る会社より自分の生活が第一です。 転職活動を優先しつつ、なるべく円満に、スムーズに退職するように心がけましょう。 辞めることを決めたら、辞めたいと申し出たときの会社の反応、引き留められたときの対応、辞めてからの自分の行動スケジュール、などをできるだけ具体的に考えておきましょう。 こちらの記事も参考にしてください。 関連記事:退職を決めるときはこの点に注意しよう 退職の意思を伝えることから始まる 普通は上司に退職の意思を伝えることから始まります。 小さい会社だと社長に直接話しをするでしょうし、大きな会社だと課長に話しをするでしょう。これは会社によって異なります。 退職したいという話しをするときは、退職希望日を言えるようにしておきましょう。会社としては、引継ぎに要する期間や、後任を確保する期間を優先すると思いますが、辞める本人としては、あくまでも、自分の生活を優先するのが当然です。 次の仕事に就くのがいつからが都合がよいか、これから探す場合には再就職活動に要する期間、有給休暇の残り、などを考慮して、退職希望日を決めておきます。 退職の意思を伝えると同時に退職届を提出することもあります。問題なく退職できる見通しがあれば、退職の意思を伝え、会社から退職届の提出を求められてから提出することもあります。 いずれにしても、退職の意思を伝えるときは、いつでも出せるように手元に準備しておきましょう。 退職届を提出し、退職が承認されると退職手続きが始まります。 もめることがある 後任がいないなどの理由で引き留められることがあります。退職届を受理してもらえなくても、期間の定めのない雇用契約(正社員など)であれば、法的には、申し出た時点から2週間で退職できます。有期雇用の場合には注意が必要です。 関連記事:有期雇用は途中で辞めれないのか 退職届の提出時期は、1ヶ月前などと就業規則に記載されています。なるべく就業規則に沿って手続きしましょう。 関連記事:会社を辞めさせてくれないときは 退職の手続きが始まる 退職が承認されると退職日に向けて引継ぎなどが必要になります。辞めた後に評判を落とさないように、引き継ぎに協力しましょう。 有給休暇が残っていたら消化してリフ