自分のものは自分のもの
民法第762条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
特有財産の代表的なものは、相続や贈与を受けたことで得た財産、結婚する前から所有している財産です。これらはそれぞれの物です。
相続や贈与以外で得た婚姻中の財産は、原則として特有財産ではありません。
例えば、結婚後に家を建てた場合、その名義が夫のものであり、費用は夫の稼ぎから出たとしても、何らかの形で妻の寄与が認められる場合は特有財産ではありません。
生活費用は分担する
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
これにより、婚姻後生じる費用は、夫婦がお互いに出し合わなければなりません。一方に収入がないときは一方が全額負担しなければなりません。
それぞれに十分な稼ぎがあれば別ですが、一般的には「夫が稼いだものは夫のもの、妻が稼いだものは妻のもの」とすることはできません。
婚姻から生じる費用というのは、衣食住、娯楽、子の養育費など一切の費用です。
家事の債務は連帯責任
夫婦は債務について連帯責任があるという規定です。ただし、日常の家事に必要な支払いについてです。勝手に購入した贅沢品や、ギャンブルに投じた費用などは別です。
民法第761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
この規定により、日常の家事をするために必要で購入した物の代金は、知らないと言って突き放すことは原則としてできません。
夫婦財産契約とは
特有財産についての民法の規定は、夫婦財産契約が結ばれていればその契約が優先されます。
夫婦財産契約では次のようなことを決めておくことができます。
・婚姻前から所有している財産を夫所有にするのか、妻所有にするのか、共有にするのか
・婚姻中に夫婦が取得する財産をすべて夫の所有にするのか、全部妻の所有にするのか、共有にするのか
・夫婦が共同生活する際の費用を全部夫が負担するのか、妻が負担するのか、それぞれの財産に応じて分担するのか
この契約は、婚姻の届け出前に契約しなければなりません。かつ、法務局で登記しなければなりません。
婚姻後の夫婦間の契約であればいつでも取り消すことができますが、この夫婦財産契約は原則として取消すことができません。
現状、ほとんど利用者がいないようです。
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