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個人事業主の決算

決算月は12月

個人事業主の決算月は12月です。

確定申告書を提出できるのは2月半ばから3月15日までですが、12月末の決算をきちんとしておくことで、スムーズな確定申告を行うことができます。

決算の手順

現金預金残高の確認

実際に手元にある現金が、現金出納帳の残高と一致するかを確認します。現金の金種別一覧表を作って保管しておくとよいでしょう。預金通帳は記帳して、預金の帳簿と一致するかを確認します。

現金や預金の残高一致は、決算月だから合わせるというのでなく、いつも一致しているのが基本ですが、決算の場合には特に重要なので、こうした作業を実際に行った記録が残るように作業するべきです。

現金の金種別一覧表もそうですし、預金についても銀行から残高証明書を取っておくと完璧です。そこまでいかなくても、記帳した預金通帳のコピーをとり、それに一致している旨の書き込みをしておくことが必要です。

棚卸し(たなおろし)

棚卸しとは商品や原材料などの在庫の数を数えて、12月の業務終了日における商品等の価額を確定させることです。

倉庫等にある商品だけでなく、取引先に預けてある在庫、配送中の商品なども在庫として計算にいれなければなりません。

棚卸し作業では、棚卸し表というものを作成します。特に様式は決まっていません。商品名と数量と金額があればよいのです。

パソコンで、商品一覧表をプリントして合計金額を確認するだけでは、「棚卸し」になりません。文字通り「棚からおろす」ようにして、実際に商品をチェックすることが必要です。

やり方としては、パソコンから打ち出した商品一覧表を使って、その記載をもとに商品チェックをして、数の修正を書きこんだものも、立派な棚卸し表です。

大事なことは、この実地に書き込みなどをした棚卸し表を保管しておくことです。ただ打ち出したままのきれいな印刷物では棚卸しをした記録が残りません。

正確な決算をするために、破損等で商品価値が無くなった商品は、期末在庫から除外する必要があります。その場合は、その商品の破損状況等が後に分かるように、写真を撮っておく必要があります。

棚卸のチェックポイント
□ 実際に棚卸し作業を行い記録を保管したか
□ 取引先への預け商品、輸送中商品について確認したか
□ 返品された商品を在庫に戻したか
□ 壊れたりして価値が無くなっている商品は除外したか。
□ 引き取り運賃などの付随費用が取得価額に算入されているか

売掛金や買掛金の残高

売上計上にもれはないか、仕入計上にもれはないか、請求残高は正確か、あとで支払わなければならない買掛残高はきちんと把握できているか確認します。大きな企業であれば相手方に残高確認書類を送付してお互いに確認をとるのですが、個人事業でも確認することが望ましいです。

借入金の確認

借入金の増加や返済をきちんと記帳してあるか、その残高は正確かを確認します。

決算整理仕訳

整理仕訳の準備をします。

未収入金、未払費用の一覧表を作成します。

事業主貸借勘定

個人事業の経理で、事業と個人の間のお金のやり取りを記録するための勘定科目が、「事業主勘定」です。

事業主勘定の仕訳

その他の所得

年金や原稿料、講演料などの所得は、確定申告書表2の所得に、所得の種類、支払先、支払金額、源泉徴収税額を記入します。支払調書があれば記載しやすいのですが、支払調書というものは税務署に提出するもので支払先に提出義務はありません。それに、5万未満については発行義務もないので、手に入らないことがあります。

ここに記載する金額は消費税抜きで記載した方が源泉徴収税との関係でわかりやすいです。

書類の準備と確定申告

確定申告には決算書を添付する必要があります。

決算整理仕訳が終わったら元帳を締め切り、各勘定科目の残高をもとに決算書を作成します。経理知識があれば自分でできます。今は扱いやすい会計ソフトがあるので、あまり経理知識が無い人でも自力で決算書を作成できます。

できない場合は、税理士に依頼することになります。

決算書を作成したら確定申告書を作成します。

確定申告の用紙は税務署に置いてありますが、一から記載するより、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用すると便利です。

税務署に所得税の確定申告をすれば、その申告データは住所地の市町村へ送られ、住民税額が計算されます。税務署に申告していれば別個に市町村に所得の申告をする必要はありません。住民税の方は年4回に分割して納付することになっています。

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