スキップしてメイン コンテンツに移動

転籍してほしいと言われたら

転籍とは

転籍は、雇用契約を結んでいる会社を退職して、会社が指示した会社と新たな雇用契約を結ぶことです。

元の会社との雇用関係が続く出向とは違って、元の会社との雇用関係は無くなります。

会社によっては転籍も出向と呼ぶことがありますが、転籍と出向は全く異なるものです。打診を受けたときは、勘違いしないようによく注意しましょう。

転籍は同意が必要

「子会社に移ってくれ。」と言われましたが、業績の良くない会社で賃金も下がるようなので行きたくありません。断っても大丈夫でしょうか。

転籍は会社員にとっては重大なできごとです。

次の職場が決まっているにしても、現在の会社を解雇されるに等しいのですから、本人の同意がなければ転籍させられません。就業規則に「転籍させることがある」と記載されていても一人一人の個別同意が必要です。

転籍の話しが出されたら、転籍を強制することはできないし、転籍に同意しなかったことを理由に解雇することはできないのですから、落ち着いていろいろと質問しましょう。話し合いは穏やかにするべきですが、会社を出てくれと言われたわけですから質問くらいは遠慮することはありません。

条件を確認する

内心、転籍を承諾するつもりがあっても、条件も確認せずに承諾するのは危険です。転籍先の会社との雇用契約がどのような内容で、それは今の会社との雇用契約とどの点がどれくらい違うのかよく確認する必要があります。

まず、今の会社と転籍先となる会社の経営状況を聞きましょう。今の会社の経営が厳しい状況にある場合は、転籍が状況打開のきっかけになることもあります。ただし、担当者は転籍させようとするあまり、おいしい話しをする可能性があります。説明を鵜呑みにするのでなく、自分でもしっかりと調べましょう。

次に、転属先での従事する業務について聞きます。例えば、経理部に所属していたとして、転籍先でも経理の仕事ができればよいのですが、全く畑違いの仕事が予定されていることもあります。先の会社のことは分からないという返事であれば、誠実さを感じられないので、断る理由の一つになります。

就労する場所も確認しましょう。引っ越しや単身赴任を余儀なくされる場合もあります。また、転籍先の会社の転勤についてのルールも確認しておきましょう。行ったとたんに転勤という可能性もあるからです。

転籍前の賃金や賞与、退職金がそのまま転籍後の会社に引き継がれるものではありません。そのため、転籍後の賃金や、転籍先の賞与の支払い状況、退職金がどのようになるのかという点を確認しておく必要があります。特に退職金は影響が大きいので通算の退職金見込額も調べてもらいましょう。転籍の時点で今の会社から受け取る退職金と、その後転籍先を定年になるときの退職金を合計した金額が、今の会社を定年まで勤めた場合の退職金とどれくらい違うかは大きな判断要素になります。

休日や有休休暇についても、今の会社で認められている特別休暇があるかどうか、また、有休休暇日数はどうなるのかといった点も確認しておく必要があるでしょう。

転籍先の始業終業時間等の労働時間や変形労働時間制やみなし労働時間制の導入状況も確認しておく必要があります。

これらの説明は、口頭では覚えきれないと言って、メモでもよいのでなんらかの文書でもらうようにしましょう。メールでのやり取りが良いのですが、会社のアドレスを使っている場合は会社を辞めると消えることが多いので、プリントしておきましょう。

納得できず、同意しなければ、原則として転籍させることはできません。強行されそうであれば、弁護士等の専門家に相談しましょう。

トップページ職場でトラブルになったら>このページ

このブログの人気の投稿

メールのビジネスマナー

ビジネスメールの構成 ビジネスメールは、本文の書き方はもちろん重要ですが、基本的な形がしっかりしていると、印象がよいものです。 タイトル、本文(宛先、挨拶と名乗り、用件)、署名が基本的な構成です。 タイトルの書き方 メールにはタイトル(件名)を書く欄があります。空欄でも送れますが、ビジネスメールでは必ず入れるようにしましょう。 タイトル例 〇〇会議の開催について 〇〇資料のご送付 〇月〇日の打ち合わせの確認 「おはようございます」「先日はありがとうございました」というタイトルは迷惑メールに見えることがあります。 本文の書き方 宛先 一番最初に宛先を書きます。 名前だけでなく、会社名 、部署名、役職名も書きます。 名前のあとの敬称を忘れないようにしましょう。宛名の書き間違えは失礼です。名刺などで確認しましょう。昇格していることがあるのでその点にも注意が必要です。 CC、BCCは、会社の決まりがある場合は従わなければなりませんが、特に制約がなければ、なるべく使わない方がよいでしょう。特に、CCは、相手に全員のメールアドレスが表示されるので嫌がる人も多いです。注意しましょう。 件名 件名は空欄でも送れますが、ビジネスメールのときは、件名を必ず記入しましょう。 件名は、単に「ご報告」「ご連絡」ではなく、「○○についてのご報告」「〇〇に関しての問い合わせ」などのように、内容が推定できるような書きかたをします。 書き出し 手紙の場合は、「拝啓」「謹啓」などの頭語(とうご)から始めますが、メールには頭語を付けません。 また、手紙は頭語のあとは時候の挨拶を書きます。早春の侯 寒さの中に春の気配を感じる頃となりました。などというところです。 初めての人にメールするときや、久しぶりにメールをするときなどは、時候の挨拶を入れて丁寧にすることもありますが、メールの場合、時候の挨拶を省略するのが普通です。 次のような書き出しが一般的です。 いつもお大変世話になっております(こと、厚く御礼申し上げます)。 用件を書く この後に、用件を書きます。 締めのあいさつを書く 用件を書き終えたら、締めのあいさつ文を書きます。メールの場合は、手紙のような「敬具」「敬白」などを結語(けつご)を書きません。 よろしくお願いいたします。が普通です。 署名 メールの最後に記載する、会社名、氏名を署名といいます。 ...

会社員は年末調整で所得税の過不足を精算する

年末調整とは 本来、税金は、納税者本人が所得税額を税務署に申告して、納付を行うのが原則です。 ところが、会社員等の場合には、納税者である会社員は自分で納税の申告をする必要が無く、税金の計算や徴収事務を会社が行うことになっています。 これを源泉徴収制度といいます。 源泉徴収制度の定めに従って、会社は毎月の給与や賞与から所得税を差し引いて税務署に納付しています。 ただし、毎月の税額は、仮の計算で算出しているので、正式な計算による税額と一致しません。 そこで、12月の最後の給与(または賞与)の支払時に、正式な税額計算をして、もらい過ぎていれば返し、足りなければ追加徴収します。 この事務を「年末調整」と言います。 年末調整の対象者 年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人です。12月時点で勤務している人はほとんどの場合対象になります。 ただし、次の人は除かれます。 1 1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人 2 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人 また、 2ヶ所以上から給与を支払われていて、他の勤務先に扶養控除申告書を提出している人も年末調整の対象外です。 さらに、年末調整までに必要な書類を提出していない人は自分で確定申告をする必要があります。 会社に提出する書類 年末調整の書類は、通常は次の3枚です。 「令和〇年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」 「令和〇年分 給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」 「令和〇年分 給与所得者の保険料控除申告書」 生命保険と地震保険については、加入している各生損保会社から「保険料控除証明書」が送られてきます。 年末調整は年に一度しかないので、すぐに忘れてしまいがちです。記入した書類をコピーして保存しておけば来年役立ちます。 年末調整用の用紙や記載例は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。 トップページ > 給料明細書の見方 >このページ

業務上災害の要件

労災における業務上とは 業務災害とは、労働者が、業務上の理由で、負傷、疾病、障害又は死亡することです。 業務災害と認められれば労災保険の給付を受けることができます。業務災害であると認められるには、業務起因性と業務遂行性の2つの要件があります。 要件1 業務起因性 業務上というのは、業務が原因となったということであり、業務と傷病等の間に一定の因果関係があることをいいます。 要は、負傷、疾病、障害又は死亡の原因が、仕事を原因としているかどうかです。 これを「業務起因性」といいます。 要件2 業務遂行性 また、業務災害に対する保険給付は労働者として雇われて働いていることが原因となって発生した災害に対して行われるものですから、労働者が労働関係のもとにあった場合に起きた災害でなければなりません。 これを「業務遂行性」といいます。 要は、負傷、疾病、障害又は死亡が、仕事をしているときに起ったかどうかということです。 つまり、仕事をしているときに、仕事が原因で負傷、疾病、障害又は死亡ということになれば業務上災害として、労災保険の給付を受けることができます。 一般的には、常識的な判断で申請してほぼ間違いないと思いますが、業務起因性と業務遂行性を検討して、度合いによっては労働基準監督署長が認めないこともあります。 事例解説 労働時間中 仕事をしているときに発生した事故は、原則として業務上災害です。この仕事中には、作業の準備や後片付けの時間も含まれ、手待ち時間の仮眠中の事故も業務中と認められます。 作業を中断してトイレに行って、トイレで転倒してケガをしたというような場合も、仕事中であってもトイレに行くのは当然の行為なので、トイレで仕事をしているわけではありませんが業務上災害に認めれらています。類似の行為に、水を飲む、風で飛ばされた帽子を拾うなどがあります。 業務に関係のない私用で抜け出して事故にあった場合は業務外とされます。ただし、忘れたメガネを届けてもらって、それを門までとりに行く途中の事故については仕事に必要だったとして認められた例があります。 担当業務でないことを行って事故にあった場合、それが使用者の命令で行ったことであれば業務上となりますが、自分の本来の仕事でないことを単なる親切心から行ったときは難しいようです。事情により判断が分かれます。 休憩時間中 休憩時間中であっても、事...