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会社が倒産して賃金をもらえないときは

会社の残り財産から支給を受ける

未払いの給料は、法律で優先的に支払いを受けられることになっています。会社または破産管財人等に請求することで優先的に支払いが受けられます。

給料の未払いが始まるときは、本当に会社にお金が残っていないことがあります。また、給料を払う余力はあったが、倒産などの混乱のなかで他の支払が先行して、気がついたときには給料用の財源がなくなっているということもあります。

未払いの給料があるときは、労働組合があれば労働組合を窓口に、ない場合は、同僚と相談し代表者を決めて会社と交渉しましょう。

未払い給料を請求するためには金額を計算しなければなりません。基本的には会社に計算してもらうことになりますが、労働日数や残業時間の計算に間違いがないかチェックする必要があります。

就業規則の写しや勤務の記録(タイムカードの写し)などを手に入れましょう。退職金や賞与についても同様です。

労災保険の未払い賃金立て替え事業を利用する

会社にすべての未払い給料等を支払う財源が残っていないときは、一定の要件に該当すれば、上限額はありますが、政府が立て替え払いをしてくれる制度があります。

立替払いの対象になる賃金は、毎月の給料と退職手当です。

この制度を利用できる人

未払い賃金立て替え事業を利用できるのは、次の場合です。

1.労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていた事業主に雇用され、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者であった人

2.裁判所への破産手続開始等の申立日(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長に対する事実上の倒産の認定申請日(事実上の倒産の場合)の6か月前の日から2年の間に当該企業を退職した人

3.未払賃金額等について、破産管財人等の証明(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長の確認(事実上の倒産の場合)を受けた人

請求できる期間

立替払の請求ができる期間は、破産等法律上の倒産の場合は裁判所の破産手続の開始等の決定日又は命令日の翌日から起算して2年以内に、事実上の倒産の場合は労働基準監督署長が倒産の認定をした日の翌日から起算して2年以内に未払賃金の立替払請求書を独立行政法人労働者健康安全機構に提出しなければなりません。

この期間を過ぎた場合は立替払を受けることはできません。

労働者健康安全機構|未払賃金の立替事業

請求の手続き

「法律上の倒産」の場合と「事実上の倒産」の場合では、請求手続が異なります。

法律上の倒産の場合の請求手続

「法律上の倒産」とは、法的整理手続(破産・民事再生・会社更生・特別清算)の開始が決定された倒産です。

1.破産管財人等に対して立替払請求の必要事項についての証明を申請します。
2.証明書が交付されたら申請書に必要事項を記入して独立行政法人労働者健康安全機構に送付します。

事実上の倒産の場合の請求手続

「事実上の倒産」とは、経営的に破たんして倒産状態にありながら、法的倒産手続をとっていない状態のことです。

1.労働基準監督署長に対して、事業活動を停止し、再開の見込みがなく、かつ、賃金支払い能力がない状態になったことについて認定を受ける申請をします。複数名の労働者がいる場合は代表が申請します。

2.認定通知書が交付されたら、再度、労働基準監督署長に対して、立替払請求の必要事項についての確認の申請を行います。

3.確認通知書が交付されたら、申請書に必要事項を記入して独立行政法人労働者健康安全機構に送付します。

国から支給される金額

原則として未払い賃金の総額の80%が支払われます。

年齢
未払賃金の総額
支給額の上限
30歳未満110万円88万円
30歳以上45歳未満220万円176万円
45歳以上370万円296万円

この制度は、独立行政法人労働者健康安全機構が扱いますが、労働基準監督署で相談できます。

訴訟を起こす

未払い賃金は、会社が払うべきものを払っていないということなので、債権者である労働者は訴訟を起こすこともできます。

60万円以下であれば少額訴訟です。少額訴訟とは、60万円以下の債権を請求するために、簡易裁判所で行うことができる訴訟のです。少額訴訟は、1回の審理で結論を出してもらうことができます。

金額が大きければ地方裁判所に通常の訴訟を起こすことができます。

訴訟は本人がすることもできますが、普通は弁護士に依頼するので弁護士費用がかかります。また、裁判に勝っても、会社に本当に財産が残っていなければ、お金を回収できないこともあります。

訴訟を考えたときは、勝てる見込みがあるかどうか、費用はどれくらいかかるか、弁護士に相談しましょう。

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