雇い止めのルール
「1年契約で更新してきましたが、今年で最後にすると会社から言われました」
いつからいつまで雇用されるという雇用期間が決めて働いている場合は、その期間が終るときに雇用契約が終了します。これを「雇い止め」といい、違法ではありません。
しかし、場合によっては、雇止めを撤回させたり、予告期間をもらえる場合もあります。
有期雇用でない場合もある
社内で契約社員と呼ばれているので有期雇用だと本人が思い込んでいる場合もあります。契約社員でもすべてが有期雇用とは限りません。契約書や労働条件通知書などを確認しましょう。契約期間について記載されてなければ無期雇用契約ということになります。雇い止めは適用されません。
実質的に無期契約になっている
形式的には雇用期間を定めた契約であっても、実質的には無期契約と同様だと判断される場合がは雇い止めが認められない場合があります。
雇い止めが無効になる場合
雇止めが無効になるのは次のようなケースです。
1 雇用契約の更新手続きがルーズで書面の契約書を作っていない、または、作っていても特に協議も説明もなくほぼ自動的に更新が繰り返されていた
2 「いつまでも働いてほしい」などと声をかけられた
3 正社員と同じような仕事をして周りから期待されていた
4 これまでに有期労働者で雇止めされた人がいない
上記に一つ以上当てはまる場合は簡単に雇止めできません。どうしても辞めさせるというのであれば、解雇する場合と同様の基準が適用されます。これはパートでも同様です。「正社員じゃないから仕方がない」とあきらめる必要はありません。
まずは会社に、あらためて更新をお願いしましょう。また、更新できない理由も聞きましょう。
次に雇止め理由書の交付を求めましょう。労働者が雇止めの理由について文書を請求したときは、労働基準法第14条に基づく告示(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」平15・厚労省告示第357号)に基づいて使用者は遅滞なく交付する義務を負っています。
雇い止めでも予告が必要な場合
有期解約を締結している労働者(有期契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている者に限る)に対して、雇い止めをする場合には、少なくとも契約期間満了日の30日前までに予告しなければならないことになっています。
ですから、上記の条件に当てはまる場合は、さらに30日は働かせてもらうか、すぐに退職する場合にはその分の賃金の支払いを求めるこが可能です。
なお、直前の契約書で、次回の更新は無いと明示されていた場合は、契約期間満了をもって当然に退職となるので上記の予告は不要とされています。
雇用契約書に不更新条項が追加されたら
突然雇い止めせずに、一回は雇用契約を更新して、その契約書に、これまではなかった、「今回を最終の契約の更新とし、次回の契約更新は行わない。」との項目が追加されることがあります。
これを「不更新条項」の追加と言います。会社が雇い止めのトラブルを回避するために取る手段の一つです。
こうした条項が追加された雇用契約書に判を押してしまえば原則として次はありません。ただし、場合によっては覆る可能性もあるのでどうしても辞めたくないときは次の記述を参考にしてください。
まずは、提示された次期労働契約書について、このような変更をする理由について詳しい説明を求めてください。雇止め理由証明書の交付を求めることができます。
また、上述した「雇い止めが無効になる場合」に当てはまるところがあれば、不更新条項が有る無しに関わらず雇い止めの無効を主張することができます。
雇い止めに疑問がある場合には、労働局や労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに相談してください。
しかし、会社の姿勢がかたくなであるときは、交渉しても時間切れになってしまうことが多いでしょう。
気持ちを切り替えて、さっさと次を見つける方が良いかもしれません。
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