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有給休暇をとれない

有給休暇とは

有給休暇は、労働者がリフレッシュするための制度で、労働基準法で定められています。

入社6ヶ月で10日、あと1年刻みで1日増えていき、年間20日の有給休暇をとれるようになれば上限です。パートの人もとれます。日数が違いますが有給休暇がないわけではありません。

有給休暇の取得は、理由にかかわらず、いつでもとれることになっています。

ところが、実際には、

「今の忙しい状況で休まれたら、仕事が回らないからとらないでほしい」

と、事実上拒否されたり、嫌な顔をされたり、

「ウチは役所じゃないんだ。だれもそんなものとっていないよ」

と、けんもほろろに扱われたりすることがあります。

最初に書いたように、有給休暇をとるのは法律に定められた権利ですから、押し切って休んでも会社は懲戒することはできません。

血迷って処分を科したとしても、出るところに出れば会社の負けは決まっています。

しかし、そんなに事を荒立てたくない人がほとんどでしょう。

そんな会社は辞めた方がよいかも

有給休暇を取らせない、取りにくい会社は、体質が古く、経営者がワンマンで、有給休暇の問題だけでなく、その他の面でも労働者の権利をないがしろにしがちです。

そういう会社は長くいてもろくなことがありません。ものすごく給料が良いとか、欠点を補って余りある利点があれば別ですが、さっさと見切りをつけることも考えましょう。

嘘も方便

「昨日の夜から熱がでています。インフルかもしれないので念のため休ませていただきます」

「世話になっている親戚が病気になったのですが、いまのうちに見舞いに顔を出しておけと親が言ってきました」

などと、上司が断れない適当な言い訳をこしらえて休むのもありでしょう。相手が違法なのでウソで対抗する訳ですが、ばれることがあるので気をつけてください。

なお、有給休暇は、知人の結婚式のような明確な理由でなくても、遊びに行く、体調が悪い、気が乗らない、なんでも構わないのです。上司に理由を言う義務は、法律上はありません。

理屈を通す

弁論に自信があれば、上司をやり込めるつもりで主張する手もあります。

ただし、口で勝ったとしても、関係がこじれていく可能性があります。覚悟を決めて取り組む必要があります。

通報する

労働基準法違反ですから労働基準監督署に通報することができます。労働基準監督署では、会社に調査に入ってくれます。

労働基準監督署への申告は匿名でもよいことになっていますが、会社側もいろいろ推理するのでなんとなく分かってしまうものです。

労働基準監督署に申告したことで不利益な扱いをしてくればそれはそれで新たな労働基準法違反としてさらに通報することができますが・・・。

時季変更権について

業務多忙な時期などもあるため、会社は、代わりに別の日変更させる権利があります。時季変更権といいます。

法律上は「事業の正常な運営を妨げる」場合に時季変更権を使うことができます。

ただし、「事業の正常な運営を妨げる」とは、単に業務の繁忙、人員不足ということだけでは運営を妨げることにはなりません。

時季変更権についての裁判例
単に業務の繁忙、人員の不足というだけでは事業の正常な運営を妨げる事由となすに足らないのであって、事業の正常な運営を妨げないだけの人員配置をすることは当然の前提で、その上に事前に予測困難な突発的事由の発生等特別の事情により休暇を与えることができない場合には、時季変更権の行使が認められるものと解する。
昭和51年2月5日高知地裁判決 〇〇郵便局事件

つまり、人員が足りないからというのは理由にならないのです。それは会社側が対策するべき問題で、あなたが我慢するべき理由にはなりません。

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