スキップしてメイン コンテンツに移動

会社を辞めさせてくれないときは

辞めさせてくれないというトラブル

人手不足のせいでしょう。辞めさせてくれないというトラブルが結構あります。

会社を辞めると伝えたのに、退職の手続きをしてもらえない場合、どうしますか?

我慢して働き続けると体調を崩す危険があります。だからと言って、無断欠勤してバックレるのは避けましょう。

関連記事:欠勤したまま会社を辞めてしまいたい

引き留められたとき

慰留されるということは、認めてもらっているとも言えるので光栄なことですが、口先だけかもしれません。

あなたが欠ければ仕事が滞る、つまり、自分が忙しくなってしまう。

あなたが欠ければ自分の指導能力を疑われるかもしれない。管理職としてのピンチだ。

慰留する上司の気持ちはだいたいこんなものです。

あなたが辞めたいと思ったからには、それなりの理由があるはずです。その原因がクリアしていないのに、押しに負けて残っても、それは上司を利するだけで、あなたは、すぐに後悔する可能性が大きいです。

こんな風に引き留められる

上司は自分が困るので必死になります。

その結果、度が過ぎる引き留めにあうことがあります。一般的には次のようなことを言われるでしょう。

後任が決まるまで頼むよ

「人がいないんだから辞めないでほしい。せめて後任が決まるまでいてほしい」

就業規則に書いてある退職届の期限を守っていれば、応じる必要はありません。もし、就業規則の期限内であっても正当な理由があれば会社は強制できません。

多少の延長は自分の事情が許せば受け入れてもよいでしょうが、ズルズルと引き延ばされないように注意しましょう。初めから引き伸ばしのつもりで言っていることがあります。

改善を約束する

「なぜ辞めるの。その問題は改善するから辞めないでよ」

こういう言葉は、だいたいは信用できません。簡単に改善できることであれば退社を決意するまでのことになっていないはずです。具体的な対応策を聞いて、信用できるかどうか判断しましょう。

部署の異動や仕事量の軽減などについて、具体的に対案を出してくれる場合は、一応検討してみましょう。辞めなくてすむのであればそれに越したことはない場合もあります。

責任感に訴えてくる

「今やめるなんて無責任じゃないか。そういうことではどこへ行っても同じだよ」

これは責任転嫁です。辞めようとする人を悪者扱いする手段です。こんな脅しは気にする必要がありまん。屈して残ってもろくなことはありません。

特に、どこに行っても同じ、ということはありません。先のことは誰も分かりません。こんなことを言う上司は自分のことしか考えていません。

逆に責めてくる

「会社にどれだけ迷惑をかけると思っているんだ。賠償金もんだよ」

悪質な脅しです。録音しましょう。

上司が了解しなくても退職届を提出する

上司が了解してくれない場合は、上司の上司、または人事の権利がある人事部長などに直接話すとよいでしょう。

それでも引き留められる場合は、退職届を出します。

法律的には、退職届を出して2週間経過すれば退職したことになります。

ただし、就業規則で1ヶ月とか2ヶ月という退職予告期間を設定されていると思います。民法と就業規則、どちらが優先するのか。判例や学説でも解釈が一致していないようですが、一般的には1ヶ月程度であれば就業規則が優先するとされています。

ということで、退職届を出した後、最低2週間は出社しましょう。できれば1ヶ月はつきあいましょう。この場合、有給休暇が残っていれば堂々と使いましょう。

基本的には誠実な引継ぎは退職する従業員の義務ですが、有給休暇は従業員の権利です。会社は引継ぎを理由に有給休暇を断ることはできません。また、退職日が近づいている人には時季変更権は使えません。

有給が残っていなく、かつ出社したくない場合は、欠勤という方法があります。その際は、きちんと、体調不良などを理由とする欠勤の届を出して、無断欠勤などと言われないようにしましょう。

なお、アルバイトを含むいわゆる有期契約の場合は注意が必要です。やむを得ない事情がなければ約束した期間内は辞めることができません。ただし、学生の場合は、本務である学業に障りがでることはやむを得ない事情になるとされているので、あまり心配することはありません。

関連記事:有期雇用は途中で辞めれないのか

2週間たっても退職手続きをしてくれないとき

2週間たっても会社が退職に伴う手続きをしてくれないことも考えられます。

雇用保険の手続き

雇用保険の手続きは期限があるのであまり遅れると満額受給できない場合もあります。

離職票を出してくれない場合、離職票なしで職業安定所に行きましょう。ハローワークから会社に働きかけてくれるはずです。

ハローワークが動いてくれなかったり、動いても会社が応じてくれない場合は、次の手に進みましょう。

被保険者でなくなったことの「確認の請求(雇用保険法第8条)」です。

窓口で、明確に「被保険者でなくなったことの確認の請求」と言いましょう。口頭でもよいはずですが、文書を求められるかもしれません。

これによって、正式にハローワークが動きます。被保険者であったことの確認がなされると、離職票の交付につながります。

社会保険の手続き

会社が手続きをしてくれないと、国民健康保険に加入できないことになります。

そもそも会社側も手続きをしないで、辞めた人間の健康保険と厚生年金保険料を払っている理由がわかりませんが、そういう場合もあるようです。

これについては、市区町村の窓口ではらちが明かないでしょう。次の手に移りましょう。

労働基準監督署に申告する

労働基準法等の労働法違反があれば労働基準監督署に申告することができます。

辞める辞めさせないのケースでは次のようなことがあれば労働基準法違反が考えられます。

・有給休暇を使わせない
・退職手続きをしてくれないので退職金の手続きが遅れている
・辞めさせずに強制的に働かせている
などなど。

あっせんの申し立てをする

都道府県労働局長の指導、紛争調整委員会によるあっせんなどの手続きを利用することができます。

明確な労働基準法違反がない場合でも、不当な引き留めにあって不利益を被っている場合は、個別労働紛争に該当します。

労働基準監督署や労働局に設置されている総合労働相談の窓口で、「個別労働紛争の件で」と伝えましょう。

訴訟を起こす

弁護士に相談します。退職したいのに退職させてくれないのは不法行為ですから、そのことによって生じた金銭的な損失や、精神的苦痛に対して損害を請求できるのです。辞めさせないというのはほとんど場合違法ですから、ほぼ勝てるはずです。

訴訟までいかなくても、弁護士からの内容証明でだいたい解決に向かうようです。

弁護士に依頼するには証拠が大事です。いつ退職を申し出てどのようにいわれ、どのような経緯をたどったか、克明に記録しておきましょう。箇条書きのような簡単なメモではなく、日記風に誰がどう言って、それに対してどう答えたか、方言があればそのままに、大きな声で言われたのであれば、その描写も記録しましょう。記録はパソコンなどでなく手書きであればさらによいです。録音があればなおよいです。

トップページ職場でトラブルになったら>このページ

このブログの人気の投稿

メールのビジネスマナー

ビジネスメールの構成 ビジネスメールは、本文の書き方はもちろん重要ですが、基本的な形がしっかりしていると、印象がよいものです。 タイトル、本文(宛先、挨拶と名乗り、用件)、署名が基本的な構成です。 タイトルの書き方 メールにはタイトル(件名)を書く欄があります。空欄でも送れますが、ビジネスメールでは必ず入れるようにしましょう。 タイトル例 〇〇会議の開催について 〇〇資料のご送付 〇月〇日の打ち合わせの確認 「おはようございます」「先日はありがとうございました」というタイトルは迷惑メールに見えることがあります。 本文の書き方 宛先 一番最初に宛先を書きます。 名前だけでなく、会社名 、部署名、役職名も書きます。 名前のあとの敬称を忘れないようにしましょう。宛名の書き間違えは失礼です。名刺などで確認しましょう。昇格していることがあるのでその点にも注意が必要です。 CC、BCCは、会社の決まりがある場合は従わなければなりませんが、特に制約がなければ、なるべく使わない方がよいでしょう。特に、CCは、相手に全員のメールアドレスが表示されるので嫌がる人も多いです。注意しましょう。 件名 件名は空欄でも送れますが、ビジネスメールのときは、件名を必ず記入しましょう。 件名は、単に「ご報告」「ご連絡」ではなく、「○○についてのご報告」「〇〇に関しての問い合わせ」などのように、内容が推定できるような書きかたをします。 書き出し 手紙の場合は、「拝啓」「謹啓」などの頭語(とうご)から始めますが、メールには頭語を付けません。 また、手紙は頭語のあとは時候の挨拶を書きます。早春の侯 寒さの中に春の気配を感じる頃となりました。などというところです。 初めての人にメールするときや、久しぶりにメールをするときなどは、時候の挨拶を入れて丁寧にすることもありますが、メールの場合、時候の挨拶を省略するのが普通です。 次のような書き出しが一般的です。 いつもお大変世話になっております(こと、厚く御礼申し上げます)。 用件を書く この後に、用件を書きます。 締めのあいさつを書く 用件を書き終えたら、締めのあいさつ文を書きます。メールの場合は、手紙のような「敬具」「敬白」などを結語(けつご)を書きません。 よろしくお願いいたします。が普通です。 署名 メールの最後に記載する、会社名、氏名を署名といいます。 ...

会社員は年末調整で所得税の過不足を精算する

年末調整とは 本来、税金は、納税者本人が所得税額を税務署に申告して、納付を行うのが原則です。 ところが、会社員等の場合には、納税者である会社員は自分で納税の申告をする必要が無く、税金の計算や徴収事務を会社が行うことになっています。 これを源泉徴収制度といいます。 源泉徴収制度の定めに従って、会社は毎月の給与や賞与から所得税を差し引いて税務署に納付しています。 ただし、毎月の税額は、仮の計算で算出しているので、正式な計算による税額と一致しません。 そこで、12月の最後の給与(または賞与)の支払時に、正式な税額計算をして、もらい過ぎていれば返し、足りなければ追加徴収します。 この事務を「年末調整」と言います。 年末調整の対象者 年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人です。12月時点で勤務している人はほとんどの場合対象になります。 ただし、次の人は除かれます。 1 1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人 2 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人 また、 2ヶ所以上から給与を支払われていて、他の勤務先に扶養控除申告書を提出している人も年末調整の対象外です。 さらに、年末調整までに必要な書類を提出していない人は自分で確定申告をする必要があります。 会社に提出する書類 年末調整の書類は、通常は次の3枚です。 「令和〇年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」 「令和〇年分 給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」 「令和〇年分 給与所得者の保険料控除申告書」 生命保険と地震保険については、加入している各生損保会社から「保険料控除証明書」が送られてきます。 年末調整は年に一度しかないので、すぐに忘れてしまいがちです。記入した書類をコピーして保存しておけば来年役立ちます。 年末調整用の用紙や記載例は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。 トップページ > 給料明細書の見方 >このページ

業務上災害の要件

労災における業務上とは 業務災害とは、労働者が、業務上の理由で、負傷、疾病、障害又は死亡することです。 業務災害と認められれば労災保険の給付を受けることができます。業務災害であると認められるには、業務起因性と業務遂行性の2つの要件があります。 要件1 業務起因性 業務上というのは、業務が原因となったということであり、業務と傷病等の間に一定の因果関係があることをいいます。 要は、負傷、疾病、障害又は死亡の原因が、仕事を原因としているかどうかです。 これを「業務起因性」といいます。 要件2 業務遂行性 また、業務災害に対する保険給付は労働者として雇われて働いていることが原因となって発生した災害に対して行われるものですから、労働者が労働関係のもとにあった場合に起きた災害でなければなりません。 これを「業務遂行性」といいます。 要は、負傷、疾病、障害又は死亡が、仕事をしているときに起ったかどうかということです。 つまり、仕事をしているときに、仕事が原因で負傷、疾病、障害又は死亡ということになれば業務上災害として、労災保険の給付を受けることができます。 一般的には、常識的な判断で申請してほぼ間違いないと思いますが、業務起因性と業務遂行性を検討して、度合いによっては労働基準監督署長が認めないこともあります。 事例解説 労働時間中 仕事をしているときに発生した事故は、原則として業務上災害です。この仕事中には、作業の準備や後片付けの時間も含まれ、手待ち時間の仮眠中の事故も業務中と認められます。 作業を中断してトイレに行って、トイレで転倒してケガをしたというような場合も、仕事中であってもトイレに行くのは当然の行為なので、トイレで仕事をしているわけではありませんが業務上災害に認めれらています。類似の行為に、水を飲む、風で飛ばされた帽子を拾うなどがあります。 業務に関係のない私用で抜け出して事故にあった場合は業務外とされます。ただし、忘れたメガネを届けてもらって、それを門までとりに行く途中の事故については仕事に必要だったとして認められた例があります。 担当業務でないことを行って事故にあった場合、それが使用者の命令で行ったことであれば業務上となりますが、自分の本来の仕事でないことを単なる親切心から行ったときは難しいようです。事情により判断が分かれます。 休憩時間中 休憩時間中であっても、事...