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出張が休日にかかれば休日出勤になるか

出張する場合、仕事は平日だとしても、休日に出発したり休日に戻ることがあると思います。この場合、実質休日をつぶしているのですが、休日出勤になるのでしょうか。 一般的には休日出勤にならないとされています。移動中に仕事をしているわけではないので毎日の通勤と同じとみなされるのです。 ただし、出張の移動中に仕事をしているのであれば話しは別です。出張先に持って行かなければならない書類を移動中の電車の中やホテルで作っていたのであれば、その作業していた時間は労働時間にカウントされます。 商品や重要書類を運ぶという特別の任務があれば、その出張の移動時間は業務とみなされ労働時間にカウントされます。いずれも休日労働割増賃金の対象になります。 トップページ > イザというときには労働基準法 >このページ

昼休みの電話当番は休憩を与えたことにならない

休憩とは 休憩とは、労働者が労働を中断して、自由に休息する権利が保障されている時間のことです。休憩の目的は、労働の途中に休息することで心身の疲れを癒すことです。 労働基準法に定められています。 労働基準法第34条 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。 労働基準法には、一斉に休憩させなければならないこと、自由に使用させなければならないことも定められています。 なお、トイレに行く、水を飲みに行くなどの、生理的欲求に基づく作業離脱は休憩ではありません。いつでも、とることができます。 電話当番をさせれば休憩させたとは言えない 昼休みに電話当番を命じた場合は、別な時間に休憩時間を与える必要があります。 多くの会社では、昼休みであっても電話が来たり来客があったりします。昼休みだから受け付けませんとは言いにくいものです。 そこで、順番制などで電話当番を決めたり、受付当番を決めることがあります。この当番は、そんなに忙しくはないでしょうし、交替制ですから負担もあまり大きくないということで、ちょっと不満があっても仕方ないかとやっているのが現状でしょう。 しかし、この当番に決められた人は、たとえその昼休み中に1人の来客も1本も電話がなかったとしても、休憩をとったことになりません。会社が休憩を与えなかったことになります。つまり、休憩時間中の当番制は、違う時間にしっかりした休憩を与えない限り労働基準法に違反することになります。 休憩時間は自由に外出できる 労働基準法では、休憩は自由に利用させなければならないと定められています。 休憩時間は外出も含めて自由に利用できます。近くの食堂に行くのも、どこかで昼寝をするのも、忘れ物をとりに自宅に行くのも自由です。 しかし、休憩時間が終わっても戻ってこない人がいるときに、どこへ行っているかでその理由に察しが付き、仕事の手配などに役立つこともあります。そうした仕事上の理由から一定の制限をつけることまでは違法とは言えないでしょう。裁判例でも、合理的な使用者の管理権は認めています。 よって、許可制そのものが駄目ではないかもしれませんが、運用の仕方では労基法に定める休憩自由利用の原則にふれるおそれがあります。 休憩は何分とれるのか 休憩について

なぜ課長になったのに給料が減るのか

管理職になって役職手当がついたけれど、いくら残業しても残業手当がつかなくなってしまった。結局、肩書はついたけれど給料は減ってしまった。 「課長だから残業手当はつかない!」「課長だから休日はない!」と言われている人も多いのではないでしょうか。 なぜ課長になったのに給料が減るのか?これは仕方ないのだろうか? そういう不自然なことが起こるのはどこか間違っているからです。 おそらく、会社が労働基準法をよく理解していないか、分かっていても放置しているのだと思われます。 確かに管理監督者は別扱い 労働基準法に次のような規定があります 労働基準法第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。 一  二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者 三  このように、「監督若しくは管理の地位にある者」には、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は」「適用しない」とあります。 この条文が管理職に残業代を出さない根拠になっています。 管理監督者と管理職は違う ところが、 労働基準法上の「監督若しくは管理の地位にある者」つまり「管理監督者」と、会社が任命する「管理職」とは別のものです。 別なのですが、 「管理監督者」と「管理職あるいは役職者」を同じものだと思っている(思わせている)会社が多いのです。 管理監督者の要件 管理監督者に該当するかどうかは次の点を考慮して判断します。 ① 会社の労務管理方針の決定に参画し、労務管理上の権限を有し、経営者と一体的な立場にあるか否か。 つまり、ほぼ経営者と同じくらいの地位にあるかということです。経営陣に直接ものを言える立場にあり、部下に対して指揮命令や人事考課の権限をもっていることが要件になるでしょう。 ② その勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か。 つまり、例えば工場長などのように、工場で何か起これば早朝でも深夜でも対応しなければならないが、朝何時に出勤し、何時に帰るかは誰に遠慮する必要なく自分の裁量で決めれるようなポジションにいる人のことです。 ③ 給料及び賞与で管理監督者にふさわしい待遇がされているか否か 残業手当などつかなくても充分に一般の従業員を上回る賃金をもらっているか。特に役職手当の額が従業員の

フレックスタイム制のメリットとデメリット

フレックスタイム制とは フレックスタイム制とは、3ヶ月以内の一定期間における総労働時間をあらかじめ定めておき、従業員はその枠内で各日の始業及び終業の時刻を自主的に決定して働く制度です。 フレックスタイム制を導入した会社では、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)に会社にいれば、いつ出社または退社するかを自分で決めることができます。 従業員にとってはどうか フレックスタイム制は、子供の送り迎えに合わせて始業終業時刻を決めることができる。用事があるときに早く帰ることができる。たまに寝坊しても遅刻の心配がない。 など、従業員にとってメリットが多い制度です。 ただし、デメリットもあります。 自分はフレックスで昼頃に出勤しても、取り引き先が通常勤務であれば朝から対応を待っているかもしれません。このように取引先等の営業時間に合わせなければならないことがあるのでフレックスのメリットを生かせないことがあります。 自分が出社している時間に、フレックスで出社していない同僚に急ぎの仕事が入ると、代りに対応しなければならないことがあります。 フレックスタイム制のメリットを生かすには、取引先や同僚との関係がより大事になります。取引先には制度を理解をしてもらうように説明し、滞る仕事がなるべくないように、段取りを工夫しなければなりません。 労働時間の過不足の処理 フレックスタイム制では、清算期間内での労働時間の割り振りが結構難しいものです。清算期間の終わりが近づくと、必要な総労働時間まで働いていないとか、逆に働きすぎがあったということがでてきます。 多く働いていた場合は、その労働時間を次期の清算期間に繰り越すことはできないので、超過分に相当する時間外割増賃金をもらいます。 逆に労働時間が不足した場合は、翌月の総労働時間が法定労働時間の総枠の範囲内で、不足分を翌月に繰り越すか、不足分に相当する賃金をカット(遅刻や欠勤と同様の扱い)されることがあります。 仕事なのでいろいろな要因である程度の過不足が生じることはやむを得ないのですが、いつも労働時間が超過するのは問題です。原因を分析し、上司と相談して早めに解決しましょう。 トップページ > イザというときには労働基準法 >このページ

労使協定を結ばなければ残業を命じられない

法定労働時間を超える場合は労使協定 労働基準法で定める労働時間は1週40時間1日8時間までです。 原則として、この時間を1分でも超えて働かせれば労働基準法違反です。原則としてというのは、変形労働時間制を採用している場合などの例外があるからです。 労働基準法に違反しないで残業をさせるには、36協定という労使協定が必要です。労働基準法36条に定めがあるので、36協定(さぶろくきょうてい)と呼ばれます。 法定労働時間を超えて働かせるのであれば、残業代をきちんと払っていたとしても36協定がなければ労働基準法違反になります。また、36協定は就業規則と違って、10人未満の事業場でも必要です。 労働者代表の条件 残業させることができる時間を定める36協定は、会社と過半数労働組合が締結します。過半数組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者と協定をします。 この代表者の選出方法等についての条件があります。 労働者代表を会社が指名してはいけません。厚生労働省によれば「労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること」となっています。 あくまでも民主的に選出する必要があります。この代表選出方法に疑義がある場合、締結された36協定の無効になることがあります。 決めた時間を超えてはならない 36協定が締結されていても残業時間には限度があります。 そもそも、原則として週45時間、年間360時間を超える時間外労働を協定することができません。 業務内容によってこの時間制限の範囲では仕事が回らないという事情があれば、36協定に「特別条項」という例外規定を設けて原則以上の時間外労働をさせることができます。ただし、特別条項を設定する場合には、限度時間を超えることができるのは年に6回までなど、いくつかの条件がつきます。特別条項を設定しても残業させ放題ということにはならないのです。 36協定を締結した場合は、その協定に定めた時間外労働の上限を守らなければなりません。 36協定を結んでも、上限時間を守っていない会社があるようです。自分の会社の36協定がどういう内容であるかを知っておく必要があります。 36協定の内容を知らされていないということもあるようです。労使協定は周知させなければならないと決まっています。周知というのは皆に知らせるこ

転勤してほしいと言われたら

会社は転勤を命令できる 会社に採用されるときには、賃金や仕事の内容などの労働条件について会社と取り決めをします。仕事の内容については、入社後最初に配属される勤務場所や従事する仕事については労働条件通知書などで提示されますが、当初の勤務場所や当初従事した仕事がいつまでも続くということはあまりなく、在籍しているうちに、会社の業務上の必要によって勤務場所や仕事内容が変更されることが一般的です。 これは、わが国の法律やこれまでの裁判例によって、会社に業務上の必要があれば、労働者に配置転換や転勤を求めることが原則として許されることになっているからです。 配置転換の目的は、欠員の補充、上級職への抜擢、職務能力の向上、取引先との癒着防止などがあります。 通常の場合、従業員は転勤を含む配置転換命令を拒否できません。 ただし、雇用されたときに、転勤しないことや職種を変更しないことを約束していたときは別です。また、会社に転勤させる人事権があるとしても、後述するように事情によってはその発令が無効になることもあります。 転勤命令を拒否したい場合 転勤は、本人が望んで受け入れるのであれば何も問題ありませんが、家庭の事情や家族の反対などで受け入れがたい気持ちになることもあります。 転勤しろと言われたらどうにもならないものでしょうか。 いくつか可能性があります。 就業規則はどうなっているか まず、就業規則に転勤についての定めがない場合です。 配置転換は法律的には就業規則の定めによって実施されます。したがって、就業規則に定めがなければ転勤命令を出せません。しかし、配置転換についてふれていない就業規則はほとんど無いと思われます。 雇用契約はどうなっているか 次に、雇用契約で勤務場所が限定されている場合は、会社は転勤を強制できません。 労働条件通知書や雇用契約書で勤務場所が明記されていればそれを根拠にすることができます。また、文書がなくても、入社時に口頭で転勤は無いという約束があるのであればそれも根拠になります。 転勤命令が不当ではないか 次に、権利濫用の問題があります。 転勤命令が「権利濫用」に当たればその転勤命令は無効になります。 判例によると、次のような場合は権利濫用と判断されます。 ① 業務上の必要性が存しない場合 ② 不当な動機・目的をもってなされたものである場合 ③ 労働者に対し通常甘受す

出向してほしいと言われたら

出向とは 出向というのは、現在の会社での従業員という身分を維持したまま、別の会社に行って働くことを命じられる人事異動です。 今の会社を退職して別の会社に行くのは転籍と言います。次のページを参考にしてください。 → 転籍してほしいと言われたら 出向しなければならないか 出向は、会社の社員としての身分は残るものの、勤務場所が変わり、仕事の内容が変わり、勤務時間等の労働条件も違うかもしれないので不安になるものです 出向しろと言われたらどうにもならないものでしょうか。 以前は、就業規則に出向に関する条文があれば、無条件に従わなければならないという考えが主流でした。 今は、労働契約法の定めもあり、就業規則だけを根拠に出向を強制することはできません。 労働契約法の定め 会社は必要があれば従業員に対して出向を命じることができます。 しかし、出向命令が権利を濫用したものと認められる場合には無効となります。 労働契約法第14条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。 出向命令が権利濫用であるかどうかは、出向を命ずる必要性の有無、対象者の選定が適切かどうか等の事情が考慮されると、労働契約法に定められています。 有効な出向命令とは 出向命令が有効であるには次の条件を満たしている必要があります。 就業規則等での定め 就業規則に出向しなけならない旨の定めがある、または、採用時に同意がある場合には使用者には配転命令権が認められます。 就業規則等に根拠があっても、個別に職種や勤務地を限定する約束があれば配転命令は無効になります。 就業規則に出向についての定めがなければ、応じる義務はありません。 出向の必要性 労働契約法に明記されているように「必要性」の無い出向命令は無効です。 必要性には、会社の業績が悪いので余剰人員を子会社に出さなければならない、関連会社の技術力が不足しているので一定の期間応援が必要、などがあります。この場合、会社が説明する必要性は本当なのかということがよく問題になります。 さらに業務上の必要性が認められたとしても、「対象労働者の選定に係る事情」とあるので、出向者の人選におかしなところがあれば出向命令は無効になる可能

転籍してほしいと言われたら

転籍とは 転籍は、雇用契約を結んでいる会社を退職して、会社が指示した会社と新たな雇用契約を結ぶことです。 元の会社との雇用関係が続く出向とは違って、元の会社との雇用関係は無くなります。 会社によっては転籍も出向と呼ぶことがありますが、転籍と出向は全く異なるものです。打診を受けたときは、勘違いしないようによく注意しましょう。 転籍は同意が必要 「子会社に移ってくれ。」と言われましたが、業績の良くない会社で賃金も下がるようなので行きたくありません。断っても大丈夫でしょうか。 転籍は会社員にとっては重大なできごとです。 次の職場が決まっているにしても、現在の会社を解雇されるに等しいのですから、本人の同意がなければ転籍させられません。就業規則に「転籍させることがある」と記載されていても一人一人の個別同意が必要です。 転籍の話しが出されたら、転籍を強制することはできないし、転籍に同意しなかったことを理由に解雇することはできないのですから、落ち着いていろいろと質問しましょう。話し合いは穏やかにするべきですが、会社を出てくれと言われたわけですから質問くらいは遠慮することはありません。 条件を確認する 内心、転籍を承諾するつもりがあっても、条件も確認せずに承諾するのは危険です。転籍先の会社との雇用契約がどのような内容で、それは今の会社との雇用契約とどの点がどれくらい違うのかよく確認する必要があります。 まず、今の会社と転籍先となる会社の経営状況を聞きましょう。今の会社の経営が厳しい状況にある場合は、転籍が状況打開のきっかけになることもあります。ただし、担当者は転籍させようとするあまり、おいしい話しをする可能性があります。説明を鵜呑みにするのでなく、自分でもしっかりと調べましょう。 次に、転属先での従事する業務について聞きます。例えば、経理部に所属していたとして、転籍先でも経理の仕事ができればよいのですが、全く畑違いの仕事が予定されていることもあります。先の会社のことは分からないという返事であれば、誠実さを感じられないので、断る理由の一つになります。 就労する場所も確認しましょう。引っ越しや単身赴任を余儀なくされる場合もあります。また、転籍先の会社の転勤についてのルールも確認しておきましょう。行ったとたんに転勤という可能性もあるからです。 転籍前の賃金や賞与、退職金がそのまま転籍後の

解雇すると言われたら

解雇できない場合があります 次に該当する場合は、解雇できないことが労働基準法などに定められています。 □ 業務上の傷病により休業している期間と、その後30日間 □ 産前産後の休業をしている期間と、その後30日間 □ 女性であること、あるいは女性が結婚、妊娠、出産、産前産後の休業をしたという理由による解雇 □ 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇 □ 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇 など 上記に該当する場合は、解雇を受け入れる必要はありません。 解雇を受け入れるかどうか決断する 解雇だと言われて「わかりました」答えれば決定してしまいます。そうした解雇は不当だと主張して争うこともできます。 まず、解雇を受け入れる場合について述べます。 業績不振等による整理解雇であれば、何らかの優遇措置があることが多いので、説明をしっかり聞きましょう。 不始末や能力不足等の個人的理由で解雇される場合は、解雇されてもやむを得ない事情があるとしても、解雇されたという事実は後々まで影響することがあるので、できるだけ解雇されるのは避けましょう。 自分に非がある場合には「退職願いを出すので解雇ではなく自主的な退職の扱いにしてくれませんか」と頼んでみましょう。場合によっては「退職してくれというのなら受け入れますが、これくらいのことで解雇されるのは納得できないので争うことにします」と(本心は争う意思がないとしても)主張するのも一手段です。受け入れてもらえれば通常の退職手続きになります。 解雇の場合、30日の解雇予告期間か30日分の平均賃金を受け取ることができます。 法律で認められた権利なので臆することなく請求しましょう。(ただし、懲戒解雇の場合で労働基準監督署長の承認を得たときは解雇予告はいらないことになっています) 解雇に納得がいかない場合は次の記述を参考に対抗してください。 解雇なのかあらためて確認する 「解雇だ」とはっきり言われたときは明確ですが、はっきりしない言い方をされる場合があります。その場合、会社の方は、自主的な退職にもっていこうと考えている場合が多いです。 「解雇なんですか」などと、解雇であることを確認しましょう。そして、何月何日で解雇なのか、解雇の理由は何か、この3つを質問し、誰がいつどこで言ったのかも含めてメモをとっておきましょう。答えが無くてもその状況をメモしてお

まずは会社内で解決できないか試みる

誰に相談するか 問題が生じたときは、普通は上司に、その上司に問題があるときはさらに上の上司に相談します。 会社は労働者が働きやすい職場環境をつくる配慮義務があり、相談窓口を設置して発生したときの対応をとることになっています。 したがって、セクハラやパワハラなどの被害を受けたときは、まず社内に設置された相談窓口、相談窓口がないときは上司や人事部門などに被害を申告し、解決を求めましょう。 窓口が分からなけば、総務か人事関係の人に聞いてみましょう。 最初からあきらめない どうせ聞いてくれない、と思い込んで相談しない人が多いのが現実です。あきらめて我慢しているうちに体調をこわす人もいます。自分を粗末にしてはいけません。 特に、勤務年数が少なかったり、パート、アルバイトなど、会社の仕組みがあまり理解できていない人ほどすぐにあきらめがちです。同僚から「しゃべっても無駄」と根拠のない話しを聞かされて本気にしてしまうこともあります。 確かに、会社というところは、不始末を隠そうとする傾向があり、また自分のことしか考えていない無責任な上司が多いことも事実だと思います。 ですが、全部がそうだとも言い切れませんから、最初から当たらずにあきらめてはいけません。すぐに修復が可能なものもあるかもしれません。 もし、取り上げてくれないとしても相談しても対応してくれなかったという事実は残ります。これが後で効いてきます。 話を持って行く手順 言うべきことを整理する 社内で主張するのはとても難しいものです。どのように話を持って行くか、じっくり考えましょう。 どのように話をするか、原稿を作るくらいでないと、緊張して、思っていることを伝えられなかったり、誤解されてしまうことがあります。話すべき内容を整理することはとても大事です。 うやむやにされることもあるかもしれませんから、できるだけ、客観的な証拠をもって申告することが必要です。 証拠といっても録音やメールの記録だけでなく、いつどこでどのような言動をされたのか、本人が記載した詳細な記録も充分に証拠となります。記憶の新しいうちに記録しておきましょう。 ただし、これらの証拠物件は、(弁護士以外の人には)絶対に現物を渡してはいけません。もみ消されることを考えて、渡すのはコピーや要約だけです。事前に準備しておきましょう。 周りの人に相談する 家族や会社以外の友人に

懲戒すると言われたら

懲戒処分とは 従業員が会社の秩序維持に違反する言動があったり、定められた手順を守らずに会社に損害を与えた、などのとき、会社は、違反の内容や程度に応じて懲戒処分することができます。 どのようなときに、どの程度の懲戒処分をするか、また、どのような手続きで処分するかはその会社の就業規則に定められています。懲戒処分の可能性があるときは、まず就業規則の内容を確認する必要があります。 懲戒処分の種類 一般的には懲戒処分には次のようなものがあります。会社によって異なります。 戒告(注意し始末書を求める) 減給(給与を減額する) 出勤停止(無給で出勤を停止する) 諭旨解雇(会社を辞めてもらう) 懲戒解雇(会社を辞めさせる) 上から順番に重い処分になります。 懲戒処分に対する対抗手段 懲戒処分をされ、納得がいかないときは次の対抗手段が考えられます。 会社に対して異議を述べる 労働契約法に懲戒処分の制限規定があります。 労働契約法第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。 「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、次のような点が考慮されます。 □ 懲戒の対象になった行為は、懲戒対象事項として就業規則に記載されているか □ 通告された処分の種類は就業規則に記載されているか □ 行為の内容等に比べて処分が重すぎないか □ 過去に同じような行為をした者と比べて不公平な処分ではないか □ 減給処分の額が労働基準法の制限内になっているか □ 同僚の行為なのに巻き添えを食っていないか □ 同じ事案について重ねて処分されていないか □ 弁明を聞いてくれたか 上記の一つでも該当することがあれば、不当性を主張することができます。 外部に対処を求める 労働基準監督署への申告 職場に労働基準法違反の事実がある場合に、これを申告するのは労働基準法に認められた従業員の権利の一つです。 例えば、減給処分の額が労働基準法の制限を超えているのであれば、労働基準監督署に申告して是正してもらうことができます。 労働基準法第104条 事業場にこの法律(労働基準法)又はこの法律に

忙しすぎる

適正な労働時間で働く 労働者の労働時間は法律で1日8時間、1週40時間を超えてはならないと決まっています。1日の労働が6時間を超える場合は休憩を与えなければならない、1週に1回又は4週に4回は休日を与えなければなりません。 この時間を超えて働くことを残業といいます。残業が悪いとは一概には言えません。労使協定の範囲内の時間数で、残業手当がきちんと払われ、かつ、疲れがたまらない範囲で働けるのであれば、ほぼ問題ないはずです。 度を超えて忙しい、つまり、自分や家族のためにつかえる時間が少なくなり、はては食事や睡眠にも影響がでるようになれば、いずれ健康を損なうのが目に見えています。 仕事以外のことを犠牲にしなければならないような長時間労働は異常ですから、周りの人の意見も聞きながら、改善の努力をし、改善できそうになければ、体を壊してまで働くことはないので、辞めたほうが良いでしょう。 まずは、忙しさがどこからくるか分析しましょう。 人手不足での忙しさ 人手不足で忙しい場合は、あなただけでなく、職場全体が忙しいと思います。 上司が生産性を気にして、あえて少ない人数でやり遂げて会社に管理能力をアピールしたいためにやっている場合もあります。 また、上司が人手不足を上に訴えていても、経営層が少ない人数でやっていきたいということでブレーキをかけていることもあります。 いずれにしても、恒常的に人手不足の職場では、定時に帰れず、休暇もとれずという状態がいつまでも続きます。 体質が古い会社 パソコンを使えば簡単に作成できる書類を手書き作っている会社もあります。チェック機能が行き過ぎて仕事が複雑に過ぎる会社もあります。 専門のところに外注すればよいものを無理に自製する会社もあります。 少し見直しすることで改善できるのですが、意思決定者の頭が古いとなかなか改善が進まず、結果として人海戦術ということになり、忙しさが収まりません。 自分にも責任があるケースもある 忙しくなる人は、完璧主義の人が多いと言われます。それも、自分が納得すればというより、他人の目に完璧に見てほしい気持ちが強いようです。 立派な成果を出せているときは良いのですが、全てうまくいくことはそんなにありません。そのやり方を続けていては、自分か仕事かどちらかがいずれパンクしてしまうことを心配しましょう。 こんな対策をしてみよう 定時に帰る努

有給休暇をとれない

有給休暇とは 有給休暇は、労働者がリフレッシュするための制度で、労働基準法で定められています。 入社6ヶ月で10日、あと1年刻みで1日増えていき、年間20日の有給休暇をとれるようになれば上限です。パートの人もとれます。日数が違いますが有給休暇がないわけではありません。 有給休暇の取得は、理由にかかわらず、いつでもとれることになっています。 ところが、実際には、 「今の忙しい状況で休まれたら、仕事が回らないからとらないでほしい」 と、事実上拒否されたり、嫌な顔をされたり、 「ウチは役所じゃないんだ。だれもそんなものとっていないよ」 と、けんもほろろに扱われたりすることがあります。 最初に書いたように、有給休暇をとるのは法律に定められた権利ですから、押し切って休んでも会社は懲戒することはできません。 血迷って処分を科したとしても、出るところに出れば会社の負けは決まっています。 しかし、そんなに事を荒立てたくない人がほとんどでしょう。 そんな会社は辞めた方がよいかも 有給休暇を取らせない、取りにくい会社は、体質が古く、経営者がワンマンで、有給休暇の問題だけでなく、その他の面でも労働者の権利をないがしろにしがちです。 そういう会社は長くいてもろくなことがありません。ものすごく給料が良いとか、欠点を補って余りある利点があれば別ですが、さっさと見切りをつけることも考えましょう。 嘘も方便 「昨日の夜から熱がでています。インフルかもしれないので念のため休ませていただきます」 「世話になっている親戚が病気になったのですが、いまのうちに見舞いに顔を出しておけと親が言ってきました」 などと、上司が断れない適当な言い訳をこしらえて休むのもありでしょう。相手が違法なのでウソで対抗する訳ですが、ばれることがあるので気をつけてください。 なお、有給休暇は、知人の結婚式のような明確な理由でなくても、遊びに行く、体調が悪い、気が乗らない、なんでも構わないのです。上司に理由を言う義務は、法律上はありません。 理屈を通す 弁論に自信があれば、上司をやり込めるつもりで主張する手もあります。 ただし、口で勝ったとしても、関係がこじれていく可能性があります。覚悟を決めて取り組む必要があります。 通報する 労働基準法違反ですから労働基準監督署に通報することができます。労働基準監督署では、会社に調査に入ってくれ

入社する前と話しが違う

やっと採用してもらえたと思ったら、話しがずい分変わってきた。こんなときの対応策について書きました。 求人広告に誇張があった 仕事をさがしていると、いろいろな求人広告を目にします。 まず注意したいのは、うのみにしないということです。ニコニコと元気に働く姿が掲載されているとしてもその写真の人が従業員とは限りません。従業員だとしてもそのようにポーズをとらされているだけだと考えたほうがよいです。 身も蓋もない話ですが、楽しい仕事や楽な仕事、抜きん出て待遇がよい仕事はそんなに簡単に転がっていません。あったとしても、そういう良いところは辞める人も少ないので求人数はとても少ないでしょう。だから、しょっちゅう求人を見かける会社は、なにかの問題があって従業員が定着していない会社です。 そう多くはないと思いますが、世の中にはとんでもなくブラックな会社もあります。うっかり応募すると危ない仕事や、法律に違反する仕事までさせられることがあるかもしれません。おかしいと思ったり、不安を感じたりするような場合は決して関わらないようにしましょう。 詐欺的なものとまでは言えないまでも、事実を伝えると誰も応募してくれないと考えて、実際よりも飾った条件で人を集める手法は、残念ながら行われています。 実際の姿が求人広告と違うことがいろいろな段階で分かります。いずれの段階であっても、臆せずに、違うところについて質問しましょう。他に就職先がないなどの理由で我慢するときもあるかもしれませんが、そもそも、このような手法で人を集める会社は、他にも我慢しなければならないことが次々と出てくるものです。早々に見切りをつけるのが上策です。 求人票と違う条件を提示された 広告だけでなく、ハローワークで閲覧する求人票にも注意が必要です。 賞与などに「見込み」「昨年実績」などと記載されていれば、あくまでも参考値です。そのまま支給されるとは限りません。 基本給などに「〇〇万円から〇〇万円」と記載されていれば、つい多い方を期待しがちですが、多くの場合は下の方を提示されます。 仕事の内容も、その会社の独自の業務名で書いてあることがあります。事務と書いてあっても、会社によって事務の守備範囲は広いのです。 こうした表示は、ずるいけれども違法ではないようです。 自分の場合は基本給かいくらか、支給される手当はどれかということは、聞かなければ分か

雇用保険に加入させてくれない

雇用保険の加入条件 雇用保険は、 1週間の所定労働時間が20時間以上 で、かつ、 31日以上の雇用見込がある 場合は、加入させなければなりません。 条件を満たしていれば、会社の意思や本人の意思に関係なく雇用保険の被保険者になって雇用保険料が給料から天引きされます。 「所定労働時間」とは、最初に契約した労働時間です。例えば、週5日勤務で1日4時間と契約すれば該当します。 ところが、契約上は3時間にして、毎日1時間以上残業があるというケースをみたことがあります。加入逃れかもしれません。 「31日以上雇用される見込み」とは、 文字通りなのですが、分かりにくい場合もあります。 まず「以上」ですから、30日なら加入させなくてもよいのですが、31日であれば加入義務が生じます。 雇用契約書には雇用期間20日間と書いてあっても、その契約書に「更新する場合がある」とあれば、明確に20日で終わるとは読めないので、これは31日以上に該当します。 雇用契約書には雇用期間20日間と書いてあって、さらに「更新する場合がある」とは書いていない。こういう契約書でずるずると延長する場合があります。 加入逃れをしている会社だと思われます。 なお、学生は原則として雇用保険に加入できないので注意してください。 関連記事: 学生は原則として雇用保険に入れません 対抗策 長年そうしてきた会社に正攻法で攻めても現実には一筋縄ではいかないでしょう。 だいたいそういう会社はハナから法律を軽視しているので、価値基準が違うのです。加入はさせてもらえたとしても、そののち、生意気な奴だと思われて嫌がらせさることもあります。 ですから、申し出るとしても、口をとがらせて権利だとか言わずに、失業給付がほしいからなどと言って、遠慮がちに頼んでみるのがよいでしょう。風向きが悪かったら、すぐに引っ込めて、次の作戦を考えましょう。 次の作戦というのは、そういう会社は辞めてしまうか、ハローワークに申し出るかです。 会社を退職した後に、ハローワークで申し出る方法は以下の通りです。 雇用保険の「雇用保険の被保険者となったこと(被保険者でなくなったこと)の確認請求書(聴取書)」といいます。 これ位の期間働いてきたが雇用保険に入れてもらえませんでした。何とかならないものでしょうか。と相談するのです。 給与明細書や給与が振り込まれた預金通帳を持って

紛争調整委員会のあっせん

あっせんとは 従業員は、都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会にあっせんを申し出ることができます。従業員からだけでなく会社からもあっせんを申し入れることができます。 「紛争調整委員会」には、弁護士、大学教授等の労働問題に詳しい専門家が委員として入っています。この紛争調整委員会の委員のうちから指名される「あっせん委員」が、紛争解決に向けてあっせんを実施します。 あっせんの対象 労働問題に関するあらゆる分野の紛争(募集・採用に関するものを除く。)がその対象となります。 □ 解雇、顧止め、配置転換・出向、降格、労働条件の不利益変更等労働条件に関する紛争 □ いじめ・嫌がらせ等、職場の環境に関する紛争 □ 労働契約の承継、同業他社への就業禁止等の労働契約に関する紛争 □ その他、退職に伴う研修費用の返還、会社所有物の破損に係る損害賠償をめぐる紛争など あっせんの進み方 あっせん開始通知書が送られてきます。これを受け取ったら、まず、あっせんに応ずるかどうか返答します。 応じないのなら応じないと連絡します。一方の当事者が応じなければあっせんは行われません。この場合、相手方は、あきらめるか、次の手段、裁判など、を準備することになります。 応じるのであれば、早めに自分の主張を書類にして送付します。送らなくてもあっせん当日に説明すれば良いのですが、当日は、時間の制約もあり、充分に説明しきれないこともあります。前もって送った方が良いでしょう。 指定の日に、当事者双方が労働局(窓口は総務部)に出向きます。一方の当事者から受任している特定社会保険労務士はあっせんに出席することができます。 あっせんのときは、あっせん委員から別々に事情を聴かれるので、お互いが顔を合わせて言い合うことはありません。まず、事情を聞かれて自分の主張を言います。 あっせん委員は、双方の事情を聴いてからあっせん案を提示します。あっせん案の中心は和解金の額です。不満であれば、相手方と話し合ってくれますが、折り合いがつかなければ、あっせんは終了します。 双方が受諾すると紛争解決となります。合意後は合意書を作成します。 その場で押印することは少なく、後日、完成した合意書が紛争調整委員会から送付されてきます。内容を確認し、記名押印し、紛争調整委員会に返送します。後日、双方の記名押印された合意書が送られてきます。 合意書に

労働審判を利用する

事業主との争いが起こったときは労働審判制度を利用することができます。労働審判委員会は地方裁判所に設置されています。 労働審判手続は、裁判官である労働審判官1名、労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名、計3名で行います。 特別の事情がある場合を除き、3回以内の期日で審理を終結することになっています。4か月程度で終結するのが目標です。 原則として調停から始まります。双方の言い分を聞いたうえで、委員会が調停案を示して解決を働きかけるのです。この調停で解決しないときは、委員会としての解決案を示します。これが労働審判です。 労働審判に不服のある当事者は、2週間以内に異議の申立てをすることができ、その場合には、労働審判はその効力を失います。 個別労働紛争解決制度と同様に、労働審判制度の調停も審判も強制ではありません。従業員、事業主のどちらかが不満があり異議を申し立てれば効力は無くなります。 次の段階は、一般の裁判(民事訴訟)です。 異議の申立てがないときは、労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有します。 トップページ > 職場でトラブルになったら >このページ

個別労働紛争解決手段を利用する

まずは、総合労働相談コーナーに相談してみましょう。同コーナーは、労働基準監督署や労働局に設置され、トラブル解決のために各種制度の内容や手続きをアドバイスしてくれます。 個別労働紛争解決手段としては、以下の制度があります。 個別労働紛争と言うのは、労働組合と会社ではなく、個人と会社との紛争という意味です。 都道府県労働局長による助言・指導 都道府県労働局長が、個別労働紛争の紛争当事者に対し、その問題点を指摘し、解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な紛争解決を促進する制度です。 紛争調整委員会によるあっせん 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づいて、紛争当事者間の調整を行い、話し合いを促進することによって、紛争の解決を図る制度です。 → 紛争調整委員会によるあっせん 障害者雇用促進法に基づく紛争解決の援助 障害者差別禁止及び合理的配慮の提供義務についての紛争について、調停等により紛争の解決を図る制度があります。 → 障害者雇用促進法の紛争解決援助 男女雇用機会均等法に基づく都道府県労働局長による紛争解決の援助制度 セクシュアルハラスメント、婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いなどについて、都道府県労働局長が、紛争当事者の意見を聴取し、助言・指導・勧告をすることによりトラブルの解決を図る制度です。 男女雇用機会均等法に基づく機会均等調停会議による調停制度 セクシュアルハラスメント、婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いなどについて、調停委員が、紛争当事者の意見を聴取し、紛争解決の方法として調停案を作成し、受諾を勧告することにより紛争の解決を図る制度です。 育児・介護休業法に基づく都道府県労働局長による紛争解決の援助制度 育児休業や介護休業取得に関しての不利益取り扱いなどについて、都道府県労働局長が、紛争当事者の意見を聴取し、助言・指導・勧告をすることによりトラブルの解決を図る制度です。 育児・介護休業法に基づく両立支援調停会議による調停制度 育児休業や介護休業取得に関しての不利益取り扱いなどについて、調停委員が、紛争当事者の意見を聴取し、紛争解決の方法として調停案を作成し、受諾を勧告することにより紛争の解決を図る制度です。 パートタイム労働法に基づく都道府県労働局長による紛争解決の援助制度 パートタイム労働者と事業主との間のトラブルについて、

労働基準監督署への申告

労働基準監督署への申告とは 労働基準法などの法律に違反していることを会社がやっている場合、従業員は労働基準監督官にその事実を告げることができます。これを「申告」といいます。 労働基準法第百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。 2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。 労働基準監督官は、会社等に立ち入り調査をしたり、帳簿及び書類の提出を求め、使用者に対して質問できるなど、大きな権限を持っています。 申告を受けると、労働基準監督官が会社に出向くか、会社に対してに書類等を持参することを求めて調査を開始します。ただし、監督官も大変多忙なので、すぐに調査に取り掛かれるかどうかはわかりません。 条文にも「申告することができる」と規定されているだけで、その申告を受けた監督官が権限を行使しなけれならないとは規定されていません。 申告の方法 具体的には、会社等の所在地を管轄する労働基準監督署に行き、「労働基準法違反の申告に来ました」と申し出ます。 管轄する労働基準監督署は、都道府県労働局のホームページで調べることができます。 電話等で相談することもできますが、電話で説明しただけでは根拠や証拠が乏しいので、会社等へ立ち入り調査等を希望するの意であれば労働基準監督署に出かけた方がよいでしょう。 匿名で申告することもできますが、申告内容を信頼してもらうにはきちんと名乗った方が良いでしょう。 名前や所属を名乗っても、「会社には自分の名前を出さないでほしい」と希望すれば応じてくれます。 具体的な説明と証拠 申告する際には、的確に説明するために、申し出たい内容を、箇条書き程度で良いので文書にして持って行きましょう。 さらに、それらの違反を裏付ける証拠書類があれば持参するとより話がスムーズに進みます。 例えば、残業代を払ってもらえないというケースであれば、給与明細書やタイムカードの写しなどを持参するとよいでしょう。例えばですから、タイムカードに限りません。自分で記録した勤務記録でもなんでも、とにかく事情が分かるものを持参するように心がけましょう。 また、社長や上司の発言の記録も重要です。 例えば、 「当社は残業を認

残業代を払ってくれない

遠慮する必要はない サービス残業していませんか。 会社には、働いた時間に対して賃金を支払う義務があります。労働者は受け取る権利があります。 定時の労働時間以上に働けば、割増賃金を受け取る権利があるのです。遠慮する必要はありません。 もらっていない、これからでも請求したい、という方々に、未払い残業代請求に必要な基本知識をお伝えします。 在職中であれば強い行動はとりにくいものです。以下は、基本的に退職後に請求を行う場合について記載したものです。 証拠が必要です 証拠といっても難しく考える必要はありません。要は、私は毎日残業していましたと言うだけでは不足で、残業したことを裏付ける何かが必要だということです。 勤務時間の記録 自分が何時に会社に出て、何時に帰ったかという事実を証明するものとしては、自分が打刻していたタイムカードのコピーがあれば一番です。 時間が詳細に記載されていれば営業日報等も証拠になります。 パソコンの使用状況が分かるログも証拠になります。 メールには送受信の日時が残ります。その時間は仕事をしていたという証拠になります。 退社後にはアカウントを消去されることがあるので、遅い時間のメールをプリントしましょう。 帰りが遅くなって利用したタクシーの領収書も退社時間の証拠になります。手書き領収書だと時間が入らないので、タクシーメーターから出るレシートなど時間が印字されるものがよいです。 会社や第三者が作成している書類は、客観性が高いので良い証拠になりますが、そうしたものを補完する書類としては、自分や家族が作成したメモなども証拠として採用されることがあります。 実際に働いていたことも証明したい 出勤と退勤の時間を立証できても、 「勝手に残って、雑談していただけではないか?」「食事等にたっぷり時間をとっていたようなので実際に働いていた時間はほんの少しだ」 などと反論されることがあります。 これに的確な反論ができなければ、請求金額を減額されてしまうかもしれません。実際に労働していたことについても、自分なりの作業メモを作るなりして証拠を用意しましょう。 また、自分の仕事が、どういう手順で行われ、どういう過程を経て一件落着に至るか、業務上の流れについて整理しておきましょう。説得力が増してきます。 上司の指示などを忘れないようにメモすることが頻繁にあると思いますが、こうしたメ